先週はSANC(サンク)の協力委員会がリモートで開催された。
SANCはSaga AtrBrut Network Centerの略称で、障害のある人たちの芸術活動を普及していくことに取り組んでいる。
「障がいのある人が、芸術活動を通して豊かに暮らし、誰もが多様な文化を認める豊かな社会へ」というのがSANCの大きな目標。
具体的には、
・佐賀県内各地で創作体験ワークショップを開催
・福祉事業所に出向いてワークショップやステージパフォーマンスを開催
・実行委員会形式の展覧会「がばいアーティストたち」の開催
・ホールやリモートによるパフォーマンスイベント「スター発掘プロジェクトin佐賀」の開催
・YOUTUBEチャンネル「スター発掘TV」の発信
・オープンアトリエ「ゆっつらアートデイ」の実施(ゆっつらは佐賀弁で「ゆっくり」)
・権利擁護セミナー&相談会の開催
・佐賀県内団体のアート活動サポート
などに取り組んでいる。
これらの活動を通して、障害のある人たちがアート活動に触れる機会を広げていったり、支援者の人たちがアート活動のサポートができるようになったり、地域のいろんな人たちが障害のある人たちのアート活動に関わってもらうことを目指している。
協力委員会もSANCにとってとても大切な機会。
委員の皆さんにはSANCの活動について意見をいただいたり、実際に活動のお手伝いをしてもらったりしている。
協力委員会に参加してもらっているのは、当事者団体、福祉事業所、大学教授、デザイン事務所、弁護士、学芸員、行政など、様々な分野の皆さん。
様々な分野から参加してもらっているからこそ、いろんな視点でSANCの活動に意見をいただくことができている。
今回の協力委員会でいちばん皆さんに関心を持ってもらったのが、オープンアトリエ「ゆっつらアートデイ」に参加されたM.Kさんのエピソード。
M.Kさんはいろんな経緯があり家に引きこもってしまっていた。
そんな状況を何とかしたいと相談支援専門員が「ゆっつらアートデイ」を勧めて、M.Kさんが参加されることになった。
月1回アトリエで開催している「ゆっつらアートデイ」は、それこそ無理強いされることもなく、自分のペースでアート活動をしたり、ゆっくり過ごすことができる。
他の参加者の人たちとも無理な関わりはなく、お互いに自然と一緒にいる感じ。
そんな「ゆっつらアートデイ」の雰囲気やアート活動が良かったのか、M.Kさんは穏やかに楽しく過ごされた。
そして、M.Kさんは「ゆっつらアートデイ」で再び外に出る経験をしてから、今はどこかの事業所に通いたいという意欲が出てきたそう。
アトリエやアート活動がM.Kさんの生活自体にいい影響があったエピソードが、協力委員の皆さんに響いた。
ある委員さんは「障害のある人にも事業所に属しない趣味でつながる隠れ家的な場所がいる。」と言われていた。
協力委員会が終わったあとに、SANCスタッフが「SANCの活動が障害のある人たちにとってのサードプレイス(第三の居場所)になったら」と話してくれた。
「サードプレイス」は自宅、学校、職場とは別に存在する居心地のいい居場所のこと。
障害のある人たちは「サードプレイス」がなかなか持ちにくいのも確か。
障害のある人たちにとっての「サードプレイス」。
とてもいいと思う。
SANCの協力委員に皆さんには、そんな障害のある人たちに寄り添うそうな目線でいつもSANCの活動を見守ってもらっている。
社会福祉法人はる
理事長 福島龍三郎
「りゅうさぶろぐ」より