はるの権利擁護虐待防止委員会では、各部署から権利侵害や虐待のグレーゾーンと思われる支援を出してもらっている。
ありがたいことに各部署からたくさんのグレーゾーンを出してくれる。
グレーゾーンの支援を出すことは、自分たちの支援の良くないところを出すような気持ちになることがあるので、表に出すことをためらうこともあるのではないかと思う。
それでも、きちんと出してくれる。
出してくれることで、個人としても、チームとしても自分たちの支援を振り返ることができる。
だから、出してくれることがありがたい。
権利擁護虐待防止委員会では全部のグレーゾーンを取り上げることができないので、各部署でも自分たちのグレーゾーンをテーマにして振り返ってくれている。
中軽度の障害がある方たちが暮らすグループホームでは、昔から働いていくれているベテランのスタッフが多く、それゆえについつい入居者の皆さんへの言葉づかいが支援としてふさわしいか悩ましいこともある。
少し前だが、そのグループホームのミーティングの時にみんなでグレーゾーンの振り返りをした。
テーマは、
1 利用者に子ども扱いをするような言葉づかい、態度をしてしまう。
2 利用者にきびしい言葉づかいをしてしまう。
このような関わり方についてどう思うか?
まずは手元の紙に自分が思ったことを書いてみて、一人ひとり書いたことを共有するというシンプルなやり方。
「スキンシップだったり、話す内容によって馴れ馴れしくなったりしているところがある。(「〇〇よ~」など。」)
「きびしい言葉づかいはあります。説明している際、どうしても自分の考えを主張してしまう方に(「〇〇さんが悪口を言う」「〇〇と言った」等)、違うと思うと説明するも聞き入れてくれない。言っているうちに(自分が)声高になる、もしくは関知しないと伝えてしまう。職場の上司に相談して...など避けてしまう。」
このようにしっかり自分を振り返ってくれたり、
「きびしい言葉を使わなくても、その人に合わせたわかりやすい言葉、丁寧な対応でも、してはいけないこと等も伝え方はいろいろある。」
と望ましい関わり方について考えてくれたりしていた。
つい最近では、生活介護のミーティングでのグレーゾーンの振り返りに参加した。
「「待ってください」と言ってしまう。」
「横断歩道を渡るとき、車が来たので手で肩を抑えてしまったとき」
「利用者さんに対して丁寧語で話すべきとは理解しているが、重度知的障害のために単語の理解しか難しく単語だけの声かけを行ってること。」
「毎日次の日の自立課題を準備しているが、本人の意思を確認せず準備をしていること。」
このようなことを一つひとつ確認しながらいい振り返りができていた。
私からは、スタッフの関わりが利用者の皆さんのためになっているか、なぜそのような関わりをするか説明できるか、そんなことが大切だと伝えさせてもらった。
人が人を支援するので、機械のように何でも正確に間違いなくというふうにはいかないのが福祉の支援。後から振り返って「あの関わり方は良くなかったのでは」と思うことを私も何度も経験している。
大切なのは「それぐらいいいさ」「仕方ない」ではなく、「もしかしたら良くなかったかも」と振り返る機会があること。
権利擁護や虐待防止は個人の心がけもだが、チームや組織としての取り組みが大切。
スタッフのみんなが利用者の皆さんに「いい支援をしていこう」という気持ちを持ち続けることができるように、これからもグレーゾーンの振り返りを続けていければと思う。