今日から今年度の強度行動障害支援者養成研修(指導者への研修)がはじまった。
国立のぞみの園さんの主催で全国の研修講師が集まって研修内容を共有する。
私も毎年「関係機関との連携」の演習を進行することになっている。
佐賀では先日この強度行動障害支援者養成研修の基礎研修が実施された。
久しぶりのリアル研修だったが、楽しくも「伝える」ことや「伝わる」ことの難しさを感じる研修でもあった。
強度行動障害支援者養成研修は福祉分野でかなり聞き馴染みのある研修となってきたが、内容は自閉症(自閉スペクトラム症:ASD)の人たちへの支援の基礎の基礎を学ぶ研修となっている。
自閉症は脳の機能的な障害と言われているが、脳の処理の違いによって行動にもいろいろな違いが出てくる。
このことを知らずに表出される行動だけ見ると、なぜそのような行動をするのか理解することができず間違った見立ての支援をしてしまう。
そのことが本人にとってのストレスとなって行動が激しくなったり、支援がうまくいかずに支援者が悩むことになる。
支援がうまくいかないと本人の行動を押さえようとしてしまい、虐待や権利侵害につながってしまうこともある。
そんな状況とならないために、支援者が自閉症のことを学んで支援に生かすことが大切で、強度行動障害支援者養成研修はそのことを学ぶための初歩的な研修だ。
大変な状況をなんとかしようということだけでなく、自閉症のことを理解することで本人の行動の意味が分かったり、本人の得意なことが分かることで本人にとっていい支援や支援者にとってやりがいのある支援に結び付けられる研修でもある。
研修の名称はイカツい感じがするが、内容はとても分かりやすくポジティブだ。
このような研修が全国で広がっていることが素晴らしいこと。
しかし、なにぶん基礎研修2日間と実践研修2日間の座学研修。
それだけで広く深い支援のことを全部わかるわけはなく、頭で分かっていることを実際の支援に生かすには更なるステップが必要だ。
頭で分かって、やってみて、壁に当たって、また考えて。
自分で分からないときには先輩や専門家のアドバイスを受けてやってみる。
そんなことをやりながら支援のスキルはあがっていく。
頭だけであれこれ考えても本人にとっていい支援はできないし、本当のやりがいにつながらない。
そんなステップアップの仕組みを、国は中核的人材研修や広域的支援人材研修で考えている。
佐賀県でも福祉・教育・医療が協力しながら取り組む強度行動障害支援者フォローアップ研修が始まった。
もっと専門的に学びたい支援者には民間の専門研修もある。
個人としても組織としても、支援のスキルをあげていくには一つひとつステップを踏んでいくことが必要だ。
はるでも内部・外部研修やコンサルの機会を通してスタッフが一つずつ学んでくれている。
基本的なことをしっかり理解して次のステップに進むことができるスタッフたちもいる。
そんなスタッフと話していて感じるのは、利用者の皆さんを大切に思う気持ち。
利用者の皆さんのことが好きだし、大切にするために学んで実践しようとしている。
研修で支援スキルをあげることは手段で、支援の本当の目的ややりがいは私たちが支援している人たちが幸せそうにしているかどうかではないかと思う。