株式会社松商

４月の下旬、一通の手紙が私の元へと届いた。差出人はホテルサンバード。
谷川岳の麓の雪国、群馬県みなかみ町からだった。
そうそう、今度、みなかみ町へ行くのに、電話でホテルを予約したんだったっけ。

そういえば電話の受付をしてくれた方が、追ってご予約確認書をお送りしますね、と言ってたっけなあ、なんてことを思いだしながら封を切る。
するとその他にも、水色の便箋で手書きの添書が入っていた。
大きくてきれいな字だ。読み進めると宿泊プランの詳細の他に、今年は例年より雪解け水が多くて、きっと勢いのあるダムの放流が見られると思います、というようなことが書かれてあった。
末尾には、ご来館を心よりお待ちしております、と結ばれ、フロント石塚と署名されていた。
今時、手書きの手紙なんて珍しいなあ、いや、それどころかホテルの確認書に手書きのお手紙が添えられていたことなど、これまでにあっただろうか？
驚きとそれを上回る、じんわりとした嬉しさが広がった。こんなお手紙をもらったら、早くみなかみに行って見たくなるじゃないの！
と、顔も知らない石塚さんの事を考えながら、私は手紙を封書に戻した。

(中略)

フロントでチェックインすると、なんと受付の人は偶然にも、手紙の主、石塚さんだった。名前を告げると石塚さんもパッと笑顔になった。
自分が電話を受け付けて手紙を書いたお客さんの名前を、石塚さんはちゃんと覚えているんだ！
と私は嬉しくなった。

私がお手紙ありがとうございます、こんなのもらったの初めてだったから嬉しかったです、というと石塚さんはさらに笑顔になった。
石塚さんは「手紙は自分が好きで考えて書いているんです、それにお客さんが喜んでくれて、石塚さんに会いたかったと言って来てくれることもあるんですよ」とにこやかに話してくれた。
マニュアルではないということが意外でもあったが、文面を思い出すと決まりきったサービスとは一味違った印象だったことが蘇ってきて、なんだかほっとしたのであった。 　　　　　　

文／松本美枝子


いかがでしたか？
これはある方が偶然、当館へ旅行された際のことをNEXCO東日本様のＨＰコラムに掲載した記事です。

当館の求める人材はこの記事を読んで「いいなぁ」と、思えるかどうかです。

”目の前のお客様のために一体自分は何をできるのか？”
そんなことを考えられる皆様を求めています。