【GPAとは】就活の選考に影響する?算出方法、学生生活にも生きるアドバイスを解説

企業は、応募者の大学の成績をどの程度気にしているのでしょうか。在学中の成績を数値化した指標である「GPA」の算出方法を紹介し、企業が選考においてGPAをどのように扱っているのかを解説します。さらに、GPAに不安がある人が就活に向けてできることも解説しています。

GPAの意味と算出方法を正しく理解しよう

GPAとは? 

GPAとは、在学中の成績の平均値を表す指標です。授業科目ごとに5段階程度で成績を評価し、段階ごとに割り振られたGP(Grade Point)を平均したものが、GPA(Grade Point Average)です。

欧米の大学で広く採用されている成績評価制度で、日本でも2000年代から普及し、現在は多くの大学が導入しています。

GPAの算出方法

GPAの一般的な算出方法は、以下の通りです。

1.授業科目ごとの成績を、素点に応じて5段階程度(A、B、C、D、Eなど)で評価。

2.それぞれの段階に対して、下図のように「4」「3」「2」「1」「0」とGPを付与。

3.以下の「GPAの算出方法」に当てはめてGPAを算出。

【算出例】24単位分のGPA平均値を算出する場合

なお、大学によってはAの上に「A+」「S」を設けたり、5段階ではなく4段階で評価したりと、仕組みが異なることがあります。自分の大学の評価方法がどのようになっているかは、シラバスなどで確認しましょう。

GPAの算出時期はいつ?

多くの大学では成績発表が行われる学期ごとに算出され、学期ごとのGPAと通算GPAが成績票に記載されることが多いようです。企業が選考の過程でGPAの提出を求める場合、通常は入学時から就活時点までの通算GPAを記載するパターンが多いです。

企業はGPAをどう評価する?

実は、就活の選考では重視されないことが多い

就活を進める中で、GPAが選考にどれほど影響するのか、気になる人も多いでしょう。多くの企業では、GPAが採否を“単独で”左右することは多くありません。ただし業種・職種・選考段階によっては参考指標として扱われます。理由は、大学や学部によって、成績評価の段階の数やGPの値の付与の仕方が異なり、そもそもの授業の素点の付け方についても、教員によってばらつきが生じているからです。

そうした要因が数値を上下させるため、学生間のGPAを単純に比較するのは難しく、多くの人事担当者は、現状ではさほど重視していません。

業種や職種によって、GPAを重視するケースもある

しかし、業種や職種によっては、GPAが重要な評価対象となり得るケースも増えてきています。

例えば、外資系企業や、総合商社、金融、コンサルティングなど一部の業種では、学生の基礎学力を測る指標の一つとして、GPAが相対的に高く評価される場合があります。

また、研究職をはじめ理工系の職種は、学業成績と専門分野の習熟度が密接にかかわることから、その分野での基礎力や探究心を示す指標として、GPAが評価対象となる場合があります。

上記以外の業種や職種でも、応募者が多い初期選考などでは、GPAを参考値として用いる場合があります。 

履修履歴を学業への取り組み方の参考とする企業も

GPAを重視しない企業も、大学での学びに無関心なわけではありません。近年、学生の学業への取り組み方をより深く理解するため、「履修履歴」に注目する動きがあります。

履修履歴とは、各学生が履修した科目の科目名、単位数、評価(成績)などを一覧化したものです。面接時にこれを参照して「どんな方針で科目を履修してきたのか」「難しい科目にどのように対処してきたか」「ほかの活動と両立するためにどんな工夫をしたか」などを学生に質問するケースがあります。

面接の定番の質問である「学生時代に力を入れたこと」のエピソードとして多くの学生が選ぶのは、サークル活動やアルバイトといった「やりたいことへの取り組み方」です。苦手な領域や困難な壁に直面したときにどのように挑戦したのか、つまり「やるべきことへの向き合い方」は、企業にとって見えにくい状況だったと言えます。

大学での単位修得と社会人としての仕事には、「やりたいこと」だけでなく「やるべきこと」に向き合う必要がある、という共通点があります。企業は、履修履歴を活用した面接で、学生の物事への向き合い方、知的な興味や志向、価値観を、より客観的に把握しようとしています。

GPAは大学の学びに大きく影響

前述のように、企業の採用選考においてGPAは、徐々に重視され始めてはいるものの、採否に決定的な影響を与えるまでには至っていません。しかし、大学生活を送る上では、GPAは重要な指標となります。

大学生活での活用事例は?

文部科学省の調査(※)によれば、多くの大学がGPAを以下の用途で活用しています。

  • 学生の学修状況や履修状況の把握
  • 履修指導
  • 学修への助言

また大学によって、以下のような対象者を選考する際にGPAを基準として用いるケースもあります。

  • 大学独自の奨学金給付対象者
  • 授業料免除対象者
  • 交換留学派遣者
  • 就職の推薦枠対象者
  • 進級・卒業適格者
  • 希望者選抜制の学科・専攻に所属できる学生

海外留学の学内選考では、留学先で求められる学びをきちんとやり遂げられるかどうかを判断するための客観的な指標として、企業への就職で大学の推薦枠を利用する際には、学業に打ち込み、基礎学力や一定の専門性を習得した証しとして、GPAが参考にされます。

したがって、大学生活での希望を実現するため、活動の幅を広げるためには、GPAをないがしろにしない方がよいでしょう。その意味では、GPAそのものを企業が重視しなかったとしても、「自身の進路を切り開くために成績向上に取り組んだエピソードの事実」として、GPAの数値はアピール材料の一つになり得る、とも言えます。

※参考:平成29年度文部科学省高等教育局委託事業『国内大学のGPAの算定及び活用に係る実態の把握に関する調査研究』報告書

GPAの平均値を公開していない大学が多い

成績が5段階評価で、段階に応じて0~4のGPが付与される場合、あくまで一つの目安ですが、平均はおおむね2.4~2.8と言われており、3.0を超えると優秀と見なされる場合が多くなります。

とはいえ、先述の文部科学省の調査によれば、9割以上の大学がGPAの平均値を公開していません。基準がわからない状態で、安易に高い、低いを判断しない方がよいでしょう。大学・学部によって成績評価基準が異なるため、他大学生・他学部生とGPAを比較し過ぎないことが大切です。

なお、学内でGPAを基準とする選考に挑む場合は、過去の合格者の基準を担当者に聞くと目標を把握しやすくなります。

GPAに不安を感じている人が就活に向けてできることは?

ここでは、GPAの数値に不安を感じている人が、就活を見据えて何をするとよいかについて解説します。

1、2年次はまんべんなく良い成績を目指す

1、2年次は計画的に勉強し、良い成績を目指しましょう。特に3、4年次に余裕をつくろうとして多数の科目を履修している人は、この時期の成績がGPAに大きく影響します。

これから履修登録を行う人は、授業以外の勉強時間などを考慮し、無理のない範囲で計画的に授業科目を登録しましょう。万が一、履修が難しくなった場合は、履修中止制度を活用する手もあります。成績が確定する前に手続きをすれば、GPAに算入されない扱いになる場合があります。

授業期間に入った後は、興味のある科目だけでなく、苦手な科目にもしっかりと時間をかけ、まんべんなく良い成績を取れるよう努力することが重要です。好成績を維持できれば、GPAを考慮する業種、職種、企業も選択肢に入りやすく、目指せる進路の幅が広がります。

3、4年次はアピール方法を工夫する

GPAは1年次からの成績の平均値であるため、3、4年次になると大幅な向上は難しくなりますが、上述した通り多くの企業の選考では、GPAは必ずしも重視されません。頭を切り替えて、別の形でのアピールを考えましょう。

面接などで学業との向き合い方を問われた際は、成績には反映されなかったものの自分なりに努力した科目や、力を入れて取り組んだ科目をピックアップして語り、学びに対しての前向きな姿勢を伝えましょう。特にゼミや卒業論文など、大学の集大成となる学びに主体的に取り組み、成長したエピソードは、強みのアピールにもなり得ます。

また、GPAが低いと、「やりたいこと」には努力できても、「やるべきこと」からは目を背けるタイプではないか?と不安に思う採用担当者がいるかもしれません。学業以外のテーマでも、「やらなければならなかったこと」に誠実に取り組んだエピソードを準備しておくとよいでしょう。

曽和利光さんプロフィール写真

監修

曽和利光さん

株式会社人材研究所・代表取締役社長。1995年、京都大学教育学部教育心理学科卒業後、リクルートで人事コンサルタント、採用グループのゼネラルマネージャーなどを経験。その後、ライフネット生命、オープンハウスで人事部門責任者を務める。2011年に人事・採用コンサルティングや教育研修などを手掛ける人材研究所を設立。『「ネットワーク採用」とは何か』(労務行政)、『人事と採用のセオリー 成長企業に共通する組織運営の原理と原則』(ソシム)など著書多数。最新刊に『コミュ障のための面接戦略』(星海社新書)がある。

※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。