ガクチカ例文20選!企業が評価する「学生時代に力を入れたこと」の書き方とポイント

エントリーシート(ES)や面接で問われる定番の質問「学生時代に力を入れたこと」。略して「ガクチカ」とも呼ばれます。

今回は、新卒採用に詳しい採用のプロ・曽和利光さんが、「企業がどんな視点で評価しているか」を踏まえて、書き方のコツを解説します。また、学生時代の経験ごとに、どんな力がついたのかを伝える例文を20パターン紹介。エントリーシート(ES)や面接準備にぜひ役立ててください。

企業が評価する「学生時代に力を入れたこと」(ガクチカ)のポイントとは

企業は「事実」に基づいた、学生の能力や性格を知りたい

企業はガクチカのエピソードを通じて、学生の能力や性格、価値観を読み取り、それらが企業文化や職務と合致しているかを確認しています。したがって、ガクチカを作成する際に重要なのは、「何に力を入れたか」だけでなく、どんな状況でいかなる行動をして、どのような結果が出たのかという、「事実」を明確に示すことです。

    企業が評価するポイント

ガクチカの内容を評価する観点は企業によって異なりますが、評価ポイントとしておおむね共通しているのは、「コミュニケーション能力」「主体性」「チャレンジ精神」「協調性」「誠実性」です。これらは、日本経済団体連合会の「2018年度 新卒採用に関するアンケート調査結果」で企業が特に重視する点として挙げたものですが、今後もこの5項目は多くの企業が着目するポイントだと考えられます。

近年重視されるのは「学び続ける力

上記の5項目に加えて、近年重視されているのが「学び続ける力」です。

変化の激しい時代において、どの業界・職種でも求められる知識やスキルは常に更新されていきます。社会に出てからも意欲的に学び続け、科学技術やトレンドの変化に柔軟に対応できる人物であるか否かは、多くの企業が評価するポイントとなっています。

それぞれの強みには、多様な側面がある

ここに挙げた「コミュニケーション能力」「主体性」「チャレンジ精神」「協調性」「誠実性」「学び続ける力」は、それぞれさまざまな要素を含んでいます。例えば、「コミュニケーション能力」一つを取ってみても、論理的に説明できる力、豊かな表現力、人を納得させる交渉力、社交性の高さなど、いくつもの側面があります。

ガクチカで自分の強みとなる能力や性格を伝えるときも、幅広い意味を含む「コミュニケーション能力」とだけ説明するよりも、より具体的な能力を伝えた方が、説得力が増すでしょう。さまざまな能力をどのように表現できるか、この後に掲載されている例文20選も参考に検討してみてください。

「学生時代に力を入れたこと」を組み立てる4つのステップ

志望企業に対して説得力のあるガクチカにするためには、いきなり書き始めず、ステップを踏んで組み立てていくとよいでしょう。あなたの強みを伝わりやすくする4つのステップを紹介します。

STEP1:経験を洗い出す

学業、ゼミ、部活、アルバイトなど学生時代の経験を振り返り、自分なりに力を入れて取り組んできたことと、それによってどんな成長を遂げたかを書き出してみましょう。輝かしい成果やインパクトある実績は必要なく、日常的なものでも十分です。

STEP2:志望企業が求めている人物像を把握する

ガクチカは最終的に「志望企業が求める資質・能力を、自分はこうした経験で培ってきた」と示すことが重要です。そのためには、企業の求める人物像を正確に理解する必要があります。採用ページなどの資料に示されている「求める人物像」をしっかり確認しましょう。

さらに、志望企業で活躍しているOB・OGに話を聞いたり、学校のキャリアセンターに相談したりすれば、より理解が深まるはずです。

STEP3:ストーリーを整理する

STEP1で洗い出した経験の中から、STEP2で把握した人物像に合うものを選び、以下の流れでストーリーとして整理しましょう。

  1. 書き出し:「私が力を入れたことは○○です」などと端的に述べる。
  2. 具体的なエピソード:下記の手順で構成すると伝わりやすい。
  • 場所や設備、人間関係、状況など、どんな「環境」での取り組みかを書く
  • 何をどう改善することを目標にしたのか「問題」を書く
  • 問題解決のためにどんな戦略を立てたか「思考」を書く
  • 問題に対してどのような行動をしたのか「対策」を書く
  • 成果が偶然の産物ではないと示すために、試行錯誤した「苦労」を書く
  • 最終的にどう変化したのか「結果」を書く

3.締めくくり:「今後に生かせる何を得たか」を具体的に書く。

エピソードは「環境」「問題」「思考」「対策」「苦労」「結果」の順でまとめると、状況やプロセスが明確になり、説得力が高まります。

特に具体的に書きたいのが、「環境」「思考」「苦労」の3点です。「環境」を丁寧に書くことで、取り組みの難易度や前提条件が伝わりやすくなります。「思考」を明確に記載すれば、仮説の立て方や根拠に基づく判断力が示せます。そして「苦労」について記述することで、成果が努力と工夫の積み重ねによって得られたものであると伝わり、全体の評価が高まるでしょう。

STEP4:企業が求める人物像に合わせて、ブラッシュアップする

ガクチカの説得力を高めるためには、志望企業に合わせた調整が求められます。

例えば、「チャレンジ精神を得た」という内容で締めくくるとします。しかし、同じ「チャレンジ精神」でも、A社が求めているのは「新しい多様な業務への挑戦」、B社が求めているのは「専門性を深め、一つの領域を追究する姿勢」であれば、締めくくりに至るまでのエピソードは別々のものを取り上げた方がよいでしょう。

同じ言葉でも企業によって解釈が異なるため、事業内容や理念まで理解しておくことが重要です。各企業が求める人物像と自分の経験が強く結び付く部分を見つけて、ガクチカをブラッシュアップしていきましょう。

「学生時代に力を入れたこと」例文20選

ここでは、学生時代の取り組みとアピールしたい力を組み合わせた20のテーマを挙げ、ガクチカの例文を紹介します。取り上げる場面や事実の示し方、求められる人物像との結び付け方などの参考にしてください。

例文1:ゼミ活動での「目標遂行力」をアピールしたい場合

大学3年生の時、工学部の材料工学ゼミで、新素材の強度評価実験に5人のチームで取り組みました。

当初は測定結果のばらつきが大きく、仮説検証が進まなかったため、私は各メンバーの実験手順を整理し、測定条件を統一しました。また、毎週のミーティングで進捗(しんちょく)を確認し、遅れているメンバーにスピードアップを促しました。

途中、装置の設定ミスにより再測定が必要になる回り道もありましたが、改善を重ね、最終発表では「大学院生の研究並みに信頼の置けるデータだ」との高評価を受けました。

一連の経験を通じて、計画通りに進まない状況でも、目標達成に必要なプロセスを設計し、周囲を巻き込んで完遂させる力を得られたと思います。

例文2:研究発表での「課題克服力」をアピールしたい場合

現在所属している経営学ゼミで「SNS広告が購買に与える影響」について発表しました。

ゼミ内での中間発表で、教授から「根拠資料が少ない」と指摘され、発表内容を一から見直すことに。根拠となる文献や数値を盛り込んだ上で、友人や家族に発表を10回以上聞いてもらい、改善点を洗い出しました。その結果、研究発表会の代表を決めるゼミ内の最終発表で、教授や先輩たちの投票で1位となり、代表の座をつかむことができました。

研究発表会当日の質疑応答では想定外の質問も出ましたが、資料に基づいて根拠のある説明ができました。失敗を機に、課題を克服する力を高められた経験でした。

例文3:学校の成績で「継続力」をアピールしたい場合

1年次から高い成績を維持できるよう意識していました。しかし、1年次は、「統計学」と「経済分析」で苦戦し、初回の試験は平均点を下回ってしまいました。

そこで、苦手科目の授業ノートを自分なりにまとめ直し、1日1時間の復習を継続。周辺知識を蓄えるため、先生に薦めていただいた関連書籍も読むようにしました。サークル活動との両立に苦労しましたが、計画的に学習を進めた結果、3年間の通算GPAは学部内で上位10%に入っています。

この経験から、努力し続ける姿勢と自己管理能力が身についたと思います。

例文4:飲食アルバイトでの「協調性」をアピールしたい場合

私は大学1年から3年まで、○○駅近くにある席数100の中華レストランでアルバイトをしていました。その店舗では、ピーク時の料理の提供が遅いことが課題でした。

私は厨房スタッフのアルバイト仲間4人と「注文後12分以内の料理提供」という目標を立て、勤務終了後に実現に向けたアイデアを出し合いました。話し合いの結果、厨房作業の効率化が必要だと考え、注文が多いメニューについては、時間に余裕のある17時から準備を行うよう店長に提案しました。

調理作業が得意な仲間に準備工程を考えてもらい、話をまとめるのが得意な私がマニュアル化を担当するなど役割を分担。結果、ピーク時の提供時間が短縮され、月間売り上げが15%向上。皆と協力して改善策を導き、実行する力を習得しました。

例文5:家庭教師アルバイトでの「課題分析力」をアピールしたい場合

大学2年の春から家庭教師として、○○大学を目指す公立高校3年生の指導を担当し、英語の偏差値を45から60に伸ばしました。

その生徒は英文法が苦手だったため、過去の模試の結果を分析して、弱点をリスト化。リストを順番につぶすように指導し、翌週の授業後に復習テストを行いました。さらに、週ごとに達成目標を設定し、生徒がスモールステップで、着実に弱点を克服しつつ、学習意欲を維持できるようにしました。

生徒は最終的に志望校に合格し、私自身、分析の仕方や人を支援する方法を学ぶ機会になりました。

例文6:部活動(文化系)での「リーダーシップ」をアピールしたい場合

大学で吹奏楽部に所属したときから、全国大会出場が目標でした。しかし、2年生の時は県大会の銀賞止まりという悔しい結果に。

クラリネットのパートリーダーだった私は、基礎練習の不足が要因だと考え、自分たちの演奏を録音し、先生や先輩卒業生にも聞いてもらって改善点を整理。パートメンバーに共有し、苦手な箇所を中心に練習を繰り返しました。メンバー間の意識の差で一時士気が下がることもありましたが、学内でミニ演奏会を開催して進捗を確認し、互いに励まし合いながら改善を継続しました。

結果、県大会で金賞を獲得し、士気を高める大切さと皆で協力し合って一つの目標を達成することの重要さを学びました。

例文7:新規サークルを立ち上げた経験から「推進力」をアピールしたい場合

大学2年次に、学内でK-POPダンスサークルを立ち上げました。私は代表として、メンバーがゼロの状態から人を集め、活動内容の整理や学内手続きを経て、活動を開始しました。

活動方針を決める際にはメンバー全員の考えを丁寧に聞き取り、全員が納得できる方針を立てました。その過程でサークルの一体感が醸成され、9名のメンバー全員が週3回の練習に熱心に参加。1年目で学園祭や地域のイベントに出演するなど、活動を軌道に乗せられました。

この経験から、責任を持って物事を推進する力と、周囲と協力して組織をつくる力が身につきました。

例文8:TOEIC®のスコアアップから「やり切る力」をアピールしたい場合

私が力を入れたのは英語学習です。実は高校1年の時も英語の検定取得を目指したことがあったのですが、勉強を始めて2カ月ほどで興味を失い、あきらめてしまいました。

大学になってあらためて英語力を高めたいと考え、模擬テストで580点だったTOEIC®のスコアを700点以上に伸ばすという目標を定めました。

挫折を防ぐために、学習状況を記録するアプリを使って、学習時間の蓄積が目に見えるようにしました。模擬テストで思うように点数が伸びなかったときは、「できるようになったこと」に目を向けて、「力がついているのだからこのまま続ければきっと成果が出る」とポジティブに考えました。また、友人たちに目標スコアを宣言して、あえて自分を追い込んだのも良かったと思います。

時間はかかりましたが、勉強開始から2年後の本試験でついに710点を獲得しました。最後までやり切ることを目指し、自分の気持ちをコントロールするテクニックを学べたと思います。

例文9:簿記の資格取得で「目標に向けて努力する力」をアピールしたい場合

私は将来、総務として働くことを希望しています。そこで、在学中に日商簿記2級の取得を目指しました。

当初は参考書で学習していましたが理解がなかなか進まず、初めての模試は50点と合格が厳しい状況でした。そこで、動画教材も加えて毎日2時間の学習を習慣化し、週末には必ず振り返りをしました。計画通りに進まない場合は1週間の中で調整し、翌週に持ち越さないよう心がけました。

学習の進捗をSNSで発信したところ、同じ目標を持つ仲間とつながり、励まし合いながらの学びが力になって、先日の6月の試験で合格しました。目標に向けて計画的に努力を積み重ねる経験は、ほかの目標ができたときにも生かせそうです。

例文10:ボランティア活動で得た「周囲を巻き込み成果を出す力」をアピールしたい場合

地元の活性化を目指して高校時代に商店街で清掃活動をしていた経験があり、大学でもキャンパス近くのA商店街の清掃ボランティアに力を入れました。

週1回の活動で、私が参加した当初、参加者数は平均5人でした。過去の参加者や地域の方にアンケートで不参加の理由を尋ねたところ、「朝6時集合が早いから」という声が多く上がりました。さっそく商店街の方に相談して朝8時集合に変更し、SNSやポスターでの告知を強化しました。

時間変更後の初回は3人しか集まらず落胆しましたが、回を重ねるごとに口コミが広がり、3カ月後には毎回10人以上が参加するまでになりました。作業効率も上がり、商店会長から感謝状を頂きました。

この経験を通じて、周囲を巻き込み成果を出す力が培われたと感じています。

例文11:地域活動で身につけた「企画実行力」をアピールしたい場合

大学1、2年の時に、地域の夏祭り実行委員を務めました。

1年の時の夏祭りは来場者数が前年比で20%減少していたため、2年の時は準備に当たり、商店街と連携した飲食の屋台に加えて、地域サークルと連携した「ものづくり体験」の屋台を設けることを提案しました。子どもが喜び、思い出に残ると考えたからです。新たに5つの屋台を増やすことになり、出店者との調整に時間を要しましたが、開催1カ月前に全出店者との契約を完了。ものづくり体験の屋台をアピールしたチラシを100枚配布し、SNSでも告知しました。

当日は来場者数が前年比130%に増えました。企画力と実行力に自信が芽生えるとともに、地域連携の大切さも実感しました。

例文12:長期留学で得た「困難に打ち勝つ力」をアピールしたい場合

大学2年次に、交換留学でアメリカに10カ月間滞在しました。アメリカの大学では学生同士の議論や発言の機会が多いとわかっていましたが、私の英語力では話に入ることができず、当初は悔しい思いをしました。

そこで、「毎授業、必ず1回は発言する」と決め、多少的外れだったり意図が通じなかったりしても気にせず、とにかく発言しました。そして、友人に協力をお願いし、ランチを食べながら簡単なディスカッションを行いました。

それらの積み重ねの結果、学期末の最終発表ではチームの代表として登壇し、教授からも「自信と説得力のあるプレゼンだった」と評価を頂きました。この経験を通して、課題を正面から受け止め、地道な努力を重ねれば克服できることを証明できました。

例文13:バックパッカーの経験から「行動力」をアピールしたい場合

大学2年生の夏、バックパッカーとしてアジア5カ国を回りました。現地では交通機関の遅延や宿泊予約のトラブルが度々発生し、行程の見直しが日常となりました。

例えば、タイでは列車の運休が発生し、予定していた都市への到着が1日遅れることになりましたが、近隣の町で宿を確保し、翌日の移動をバスに切り替えて対応。予定していた5都市すべてを無事訪問できました。

この経験を通して、アクシデントが生じても、落ち着いて柔軟に判断し、行動できる自信がつき、その後の学業や課外活動でも、積極的に新たなことに挑戦するようになりました。

例文14:趣味(音楽)を通じて得た「向上心」をアピールしたい場合

私は学園祭のステージで、バンドメンバーとしてギターを担当しました。大学1年でバンドに入ったときにはギター初心者でしたが、「ステージで輝きたい」という思いから、1日1時間の練習を2年間続けました。コードがうまく押さえられず苦戦する中、曲を小節ごとに分けて繰り返し弾いたり、苦手な部分を重点的に練習したりと、効果的な練習方法を探っていきました。

その結果、3年の時の学園祭では教室が50人以上の観客で満員になり、見ていただいた近隣の方から地域のイベントに出演してほしいという依頼まで受けました。

初心者の状態から挑戦し、向上心を持ち続けて成果を出せた経験を通じて、自分の成長を実感できました。

例文15:学園祭実行委員会での「改善提案力」をアピールしたい場合

大学2年次に、学園祭実行委員会で来場者の満足度アップを目指す施策を担当しました。

前年は混雑によるクレームが多かったことから、私は会場の動線設計の見直しと、誘導スタッフの配置を提案。スタッフの人員確保を不安視する意見がありましたが、協力した団体には希望する出店場所を優先的に割り振るアイデアが受け入れられ、予定の人数を集められました。

当日は前年と比べて人の流れがスムーズになり、アンケートでの来場者満足度は前年の68%から87%に向上。その後もサークルやゼミなどの集団活動では、改善できる部分を探して、積極的に提案しています。

例文16:趣味(スポーツ)で「自己管理能力」をアピールしたい場合

大学2年次にハーフマラソンの大会で完走しました。

初めて挑戦した1年次は10km過ぎにリタイアし、悔しい思いをしました。以後、週3回のランニングを習慣化し、慣れてきてからは毎月最低1回は8km以上走るノルマを自身に課しました。

途中、足を捻挫して練習を中断した期間もありましたが、その期間は上半身の筋トレを中心に行い、復帰後に備えました。けがから復帰後はアプリで走行記録や心拍数を管理し、モチベーションを維持しながら走る距離を伸ばしました。

1年半後の再挑戦では、3時間近くかかったものの何とか完走。初めて挑戦することでも、自己管理能力次第で力を伸ばせることを学びました。

例文17:家業の手伝いで「顧客理解力」をアピールしたい場合

私が力を入れたのは、家業のベーカリーでのアルバイトです。最初は接客が苦手で、レジに立つのが苦痛でした。しかし、お店に週3〜4回立ち、数カ月たつと、お客さま一人ひとりの好みや購入パターンを覚えられるようになり、売れ筋の商品や時間帯ごとの動向を自分なりに把握できるようになりました。

ある時、店長である父に提案し、来店が多い午後の時間帯に、レジ橫に利益率の高い焼き菓子の品ぞろえを増やしたところ、月の売り上げが5%前後アップしました。

この経験を通じて、お客さまの立場から売り方を見直したり売れ行きの傾向を分析することによって、より多くの品物を手に取っていただける可能性があることを学べました。

例文18:インターンシップで培った「学びに向かう力」をアピールしたい場合

私が力を入れたのは、2年生の時に参加したソフトウェア企業での3カ月間のインターンシップです。大学でPythonやJava™を学んでいたものの、インターンシップ先の業務では十分に生かせず、最初は開発チーム内でのコードレビューやバグ修正に手間取ることもありました。

しかし、業務に必要な新しい技術やツールを学びながらコードの書き方や作業手順を改善していくことで、バグ件数が月平均15件から5件に減り、社内向けWebアプリの機能改善プロジェクトに貢献することができました。

この経験から、知識を持っているだけでは不十分で、常に新しいことを学び続け、実務に生かす姿勢が重要であることを実感しました。

例文19:留学生へのサポート活動で培った「コミュニケーション能力」をアピールしたい場合

私は大学入学時から、留学生をサポートするボランティア活動に取り組んでいます。

留学生は一人ひとり困りごとが異なり、対応策のマニュアルもないため、当初は何を手伝えばよいのかわかりませんでした。ただ、留学生から詳しく話を聞くことで、次第に彼らが何を必要としているのか見えてくるようになりました。例えば、日本語での授業への参加が難しい学生には、授業中、隣に座って先生の話や板書を英語に訳して伝えました。スムーズに大学生活を送れるようになった留学生から感謝の言葉をもらえたときは大きなやりがいを感じました。

まずは困っている人の話に耳を傾け、自分にできることを伝えるコミュニケーションをもって、課題解決に踏み出せることを学びました。

例文20:起業経験で得た「企画分析力」をアピールしたい場合

私は大学3年次にSNSマーケティングの会社を立ち上げました。きっかけは、個人で行っていたSNSによる情報発信です。投稿への反応やフォロワー数の増減などに関心を持つようになり、人々に関心を持ってもらえるノウハウがある程度蓄積したところで、SNSマーケティング会社を起業しました。

クライアントのうち一社は知り合いのアクセサリー会社で、商品やサービスのターゲット分析、投稿コンテンツの企画・作成、反応の分析を行い、改善策を提案したところ、フォロワー数が約30人増え、短期間ながら売り上げが10%ほどアップしました。

初めての起業で試行錯誤も多かったものの、企画力や分析力、実行力の重要性を学ぶ貴重な経験になりました。

「学生時代に力を入れたこと」で注意したいポイント

企業は、単なる「努力エピソード」ではなく、どういった課題にどのように向き合い、どんな方法で解決し、その経験から何を学んだのかを知りたいと考えています。抽象的な表現や比喩表現を避け、できるだけ具体的に活動場所の名称、人数、期間、成果の数値などを盛り込むことが重要です。

「お客さまの声に耳を傾けて、ニーズに寄り添った提案をした」といった抽象的な表現をするだけでは「事実」が伝わりません。読み手が情景を思い浮かべられるよう、行動や工夫を具体的に表現しましょう。

例えば、「都心のカフェでアルバイトをした」という表現よりも、「丸の内の席数100の○○(店舗名)で、新人教育を担当し、マニュアルを作成して、お客さまの待ち時間を10%減らした」という表現の方が、取り組みの規模や成果を具体的に理解してもらえます。

エントリーシートには、必要要素をすべて盛り込もう

エントリーシート(ES)では、面接のように補足説明をする機会がありません。そのため、先述した「環境・問題・思考・対策・苦労・結果」の各要素をまんべんなく盛り込み、エピソードの全体像を明確に伝えることがポイントです。

また、これらの要素を網羅したとしても、伝えたい内容を読み手に理解してもらえなければ思っているような評価は得られません。その場合は、第三者に見せて、読んだ印象を尋ねてみるのが効果的です。「この内容から、私はどんな力を持っていると思いますか?」と聞いてみると、自分がアピールしたい能力と、他者が受け取る印象が一致しているかを確認できます。

見せる相手は家族や友人でも構いませんが、必ずしも選考担当者のような視点を持っているとは限りませんので、不安があれば、キャリアセンターの職員に依頼するとよいでしょう。

面接で話すときは「プレゼンテーションのつもり」で

ガクチカの伝え方では、「結論を最初に伝える」「内容はシンプルに」「内容を暗記し過ぎない」といったアドバイスも見受けられますが、コンパクトにまとめ過ぎたり、アドリブで話そうとしたりすると、伝えたい内容に触れられないまま面接が終わってしまう可能性もあります。

新卒採用の面接では、面接担当者が知りたい情報を率先して伝えてくれる学生が評価されやすいといえます。必要な情報をしっかり盛り込んだ内容案を作り、自分の魅力をプレゼンテーションするつもりで話す方針を推奨します。

「話が長いと思われるのでは」と不安に感じる学生もいますが、話が冗長で評価が下がるケースよりも、情報不足でアピールし切れないケースの方が多く見られます。内容や順序を整理はしつつも、伝えたい内容を確実に伝えることを意識して臨みましょう。

曽和利光さんプロフィール写真

監修

曽和利光さん

株式会社人材研究所・代表取締役社長。1995年、京都大学教育学部教育心理学科卒業後、リクルートで人事コンサルタント、採用グループのゼネラルマネージャーなどを経験。その後、ライフネット生命、オープンハウスで人事部門責任者を務める。2011年に人事・採用コンサルティングや教育研修などを手掛ける人材研究所を設立。『「ネットワーク採用」とは何か』(労務行政)、『人事と採用のセオリー 成長企業に共通する組織運営の原理と原則』(ソシム)など著書多数。最新刊に『コミュ障のための面接戦略』(星海社新書)がある。

※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。