この記事でわかること
・企業が「自覚している性格」を聞くのは、学生が自分を客観視でき、周囲と良好な関係を築く力や成長の伸びしろがあるかを見るためです。
・自分の性格を正しく自覚するためには、過去の経験を洗い出す、他己分析を活用するなどの自己分析が重要です。
・面接でアピールする際は、結論に至った具体的なエピソードを複数伝えることで説得力が増します。
・採用担当者が「自覚している性格の回答で最も注目する要素」の1位は「業務で活かせる長所・強みを持っている」で30.3%(リクナビ調査)
長所や短所など、「自覚している性格」について、エントリーシートや面接で聞かれたとき、「そもそも、どう答えればいいの?」と悩む学生もいるでしょう。そこで、これまでに1000人以上の学生の就活を支えてきた就活コーチ・廣瀬泰幸さんに、「自覚している性格」の考え方やアピールの方法などを聞きました。企業が見ているポイントや内定者の回答例文も参考に、自分としての答えを掘り下げてみましょう。
目次
エントリーシートや面接で「自覚している性格」を聞かれる理由
企業が「自覚している性格」について質問するのは、エントリーシートに書かれた短い文章や、短い時間の面接で、学生の内面や人物像を見極めるためです。自分を理解してもらうためにも、企業がどんなところを見ているのかを把握しましょう。
企業が知りたいのは、「自分を客観視できているか」
企業は、「自覚している性格」を通じて、学生が自分自身を客観視できているかを知り、入社後に活躍してくれる人材かどうかを見極めています。企業が見ている2つのポイントから、自分の性格を理解することの大切さを知っておきましょう。
人と関係性を築く力があるか
周囲の人とより良い関係性を築くためには、自分の性格を理解している必要があります。そのため、企業は「自覚している性格」を知りたいと考えています。例えば、物事をスピーディーに進めたい性格のAさんが、「自分は、ややせっかちなところがある」という性格を自覚していれば、のんびりとした行動をするBさんに対し、いらだちを隠さずに接するということはなくなるはずです。人と良好な関係を結ぶために「自分自身の性格を理解した上で相手に対してどう行動するか」を考えることができるかどうか。これは、組織で働く際に、非常に重要な力となります。
「企業で働くこと」は、「組織の中で活動すること」が大前提となります。どんな業種、職種においても、チームで協力したり、周囲に働きかけたりする力が必要です。本人が自分の性格を理解していることは、社会人として働く上で、大事なポイントとなるのです。
成長の伸びしろがあるか
自分自身を客観視する力は、入社後の活躍や成長にも影響するものです。「私はこんなところがダメだ」と短所のみにとらわれてしまう人は、自分の価値を発揮しにくいでしょう。逆に、「自分はパーフェクト」と思っている場合も、入社後の成長を期待できません。そのため、企業は、本人が自分を客観視し、長所だけでなく、短所もあることを理解できているか、つまり、「自己認識・自己概念」が健全であるかどうかを見ています。
「自分の性格」を自己分析で掘り下げて“自覚”する方法
自分の性格を客観視するために、まずは自己分析で掘り下げていくことが大事です。そして、自分の性格を理解しているかどうかは、企業・仕事選びにおける重要なポイントになります。例えば、「好き・嫌い」は、自分がどんな分野の仕事に就きたいのか、どういう人たちと働きたいのかを考えるヒントになります。また、「強み・弱み」「長所・短所」は、能力や適性につながるため、自分に向いている仕事や、自分を生かせる領域を発見することにも役立ちます。まずはしっかりと自己分析をしましょう。
自己分析に役立つ5つの方法
それでは、自己分析に役立つ5つの方法を紹介します。これらを参考にしながら、「自分の性格」を自覚していきましょう。
(1)印象的だった出来事を洗い出す
過去の経験の中から、うれしかったこと、つらかったこと、成功したこと、失敗したこと、好きだと思うこと、嫌だと思うことなど、自分にとって印象的だったことを洗い出してみましょう。自分が何を良しとし、何を悪しとするのか、どんなことで力を発揮し、どんな部分に足りないものがあるのかを認識しましょう。
(2)一つのことに対し、表側と裏側を考えてみる
「強み・弱み」「長所・短所」「好き・嫌い」などは、表裏一体のものです。例えば、好きなことが思いつかない場合、嫌いなことの「どこが嫌なのか」を考えてみれば、その裏返しで好きなことが見つかるケースもあります。また、弱みや短所ばかりに目が行く場合も、その弱みや短所を「どんなことに生かせるか」を考えてみるといいでしょう。
(3)自己分析ツールなどを使う
自己分析ツールの設問に答えることで、自分が「何を良しとし、何を嫌だと思うか」などを客観的に知ることができます。ゼロから何かを考えることは難しいものなので、外的刺激を受けることは大事です。自己分析ツールをはじめ、性格分析の本や就活セミナーなど、使えるものはどんどん活用しましょう。
(4)他己分析を自己分析に生かす
自分から見た自分だけでなく、他人から見た自分を知ることで、多面的な分析ができます。周囲の友人や先輩などに、自分のことをどんな人物だと思うか、聞いてみるといいでしょう。また、自分の周囲にいる人を分析し、自己分析に生かすこともできます。サークルやゼミなど、所属している団体の仲間には、どこかに自分との共通項があるものです。先輩や友人の長所・短所などを分析してみれば、自分に共通するものが見つかるかもしれません。
(5)先輩訪問をしてみる
気になる企業の先輩を訪問し、その会社を選んだ理由や、仕事内容や働き方などについて聞いてみるのもいいでしょう。共感できる部分を考え、自分にとっての良し悪しを判断することで、「好き・嫌い」が見つかりやすくなります。また、ゼミやサークルの4年生の先輩に、どんな自己分析をし、どのように就活を進めたのか、ポイントを聞いて参考にするのもいいでしょう。
自己分析の詳しいやり方を知りたい人はこちらの記事を参考にしましょう。
「自覚している性格」を上手にアピールする方法
自己分析で自分自身の性格を掘り下げても、そのまま羅列するだけでは、相手には伝わりません。「自覚している性格」を聞かれた際、上手なアピールにつなげるために意識したいことを紹介します。
「自覚している性格」のアピールで意識したいポイント
自覚している性格について、企業にアピールする際に、意識しておきたいポイントを紹介します。
その結論に至った理由に対し、複数の場面のエピソードを述べること
自分の性格として、例えば「社交的」「粘り強い」「理論的」「相手に気を配れる」などをアピールする際には、その結論に至った理由・背景を述べることが大事です。「このようなことが起き、こう考えて行動し、こんな結果を出した」というエピソードがポイントになりますが、最低でも2つの場面を背景としたエピソードを伝えましょう。ゼミやサークル、アルバイト先、友人や家族との付き合いなど、さまざまな場面が想定できますが、「2つの異なる背景で起きた出来事で、同じ結論に至った」と伝えれば、大きな説得力が生まれます。
また、特殊な事柄についてのエピソードではなく、自分にとってよく起きるような出来事をベースにすることもポイントです。「過去に何度も似たような経験をした。そのたびに、やはり同じように考え、行動し、結果を出した」という事実を認識し、自分自身が納得できていれば、それも大きな説得力となります。
企業が求める人物像の“水準”を見極める
志望先の企業が求める人物像と重なる部分をアピールする際には、求められている能力の“水準”を見極めましょう。例えば、総合職採用である限りは、どの企業でも「行動力」「リーダーシップ」などは、あった方がいいものとされます。しかし、自ら積極的に動くことが当たり前だったり、若いうちからチームリーダーを任せたりするような社風であれば、“基準”となる一般的なレベルよりも、さらに高い“水準”の行動力やリーダーシップが求められるといえます。その企業で活躍している人材が、どんな活躍をしているのか、どの程度の能力が“水準”であるのかをまず理解しましょう。その上で、「自分も同じようなことができる」「同じようなことに挑戦していきたい」と思えたなら求められる水準を満たしているといえるでしょう。
また、企業の求める人物像に合わせるために、自分と重なる部分を無理やり探している時点で、本人と合わない会社である可能性も高いのです。自分に合う会社を探すためにも、活躍する先輩に自分自身を重ねられるかを見極めることが大事です。
質問されたことだけを的確に答える
長所や強みを聞かれた際、「だから、私には御社でこのようなことができると思う」と入社後の話につなげてアピールする学生はよくいるものです。しかし、企業の面接担当者が知りたいのは、「結論は何か。そう思う理由は何か」です。質問に対し、「どう伝えれば、もっといいアピールができるか。どう書けば、自分を良く見せられるか」と、先回りして考える必要はありません。人間には長所も短所もあるもの。それをちゃんと客観視し、把握できていることが大事です。大きくアピールすることや、取り繕うことを考えず、結論と理由を簡潔に伝えましょう。
<アンケート調査>採用担当者が見るのは「仕事で活かせる強み」と「素直さ」
【リクナビ独自調査結果】採用担当者に『一言で言うとどんな性格ですか?』という質問で最も注目する要素を聞くと1位は「業務で活かせる長所・強み」30.3%、2位「等身大・素直さ」24.3%となりました。就活生が重視した「他の回答との矛盾を防ぐ」21.5%は、採用担当者では10.1%にとどまります。
アピールのポイントを踏まえた上で、就活生と採用担当者に行ったアンケートの結果を見てみましょう。「どう答えるか」をめぐって、両者の意識には少し差がありました。
まず就活生に「『一言で言うとどんな性格ですか?』と聞かれたとき、最も意識して回答したこと」を聞くと、最も多かったのは「企業の社風や希望する職種の適性に合致するよう寄せること」で22.1%でした。僅差で「自己PRや短所など他の回答との矛盾を防ぐこと」が21.5%と続きました。“企業に寄せる”“回答全体のつじつまを合わせる”といった、回答の組み立てに関する工夫が上位に挙がっています。
■<就活生回答>「あなたは一言で言うとどんな性格ですか?」と聞かれたとき、最も意識して回答したことを選択してください。
*本調査は、当サイトの独占コンテンツとして独自に調査したものです。

調査概要
調査期間:2026年6月26日~30日
調査対象:2025年~2026年に卒業した就職活動経験者289人
調査協力:株式会社メンバーズ
一方、採用担当者に「最も注目する要素」を聞くと、1位は「業務で活かせるような長所・強みを持っていること」が30.3%、2位は「等身大な姿や素直さが表れていること」が24.3%でした。採用担当者は、性格の質問を通して“仕事で活かせる強みがあるか”“素直に自分を出せているか”という中身を見ていることがわかります。
■<採用担当者回答>応募者に「あなたは一言で言うとどんな性格ですか?」と質問するシーンを想定し、最も注目する要素を選択してください。
*本調査は、当サイトの独占コンテンツとして独自に調査したものです。

調査概要
調査期間:2026年6月26日~30日
調査対象:新卒採用業務担当、もしくは経験した社会人416人
調査協力:株式会社メンバーズ
注目したいのは、就活生が2番目に重視した「他の回答との矛盾を防ぐこと」が21.5%に対し、採用担当者の「他の回答との一貫性があること」は10.1%にとどまった点です。学生がつじつま合わせに力を入れている一方で、採用側は一貫性を重く見ていません。
むしろ採用担当者は「素直さ」を2番目に挙げており、無理に企業へ寄せたり自分を取り繕ったりすることは、評価されるポイントを外してしまう可能性があります。自分の性格を仕事で活かせる強みと結び付けながら、等身大の言葉で率直に伝えることが大切です。
内定者の回答例を紹介。「自覚している性格」、こう答えた!
ここで、内定者の「自覚している性格」の回答例を紹介します。企業が自覚している性格について質問する場合、「強み・弱み」「長所・短所」「好き・嫌い」など、焦点を絞って聞くケースが多いです。例として、「長所」と「好きなこと」を聞かれたケースを紹介するので、どんな結論と理由を、どのようなエピソードで伝えているのかを参考にしてみましょう。あくまで例のため、「伝え方のヒント」とすることが大事です。
(1)長所を聞かれたケース
内定先企業:総合商社(一般職)
私の長所は、縁の下でチームを支えるコミュニケーション力です。高校時代、サッカー部のマネージャーとしてチームをサポートしました。溝があった下級生と上級生の間に入って、双方の考えを伝えていく中、ムードがどんどん良くなり、チームの団結に貢献できました。また、アパレルメーカーで2年間、販売のアルバイトをしたときは、アルバイトスタッフが社員との関係に悩み、すぐに辞めてしまうと感じました。そこで、自ら間に入って双方の思いを伝えると同時に、みんなでディスプレーを考えることを提案していきました。その結果、短期間でアルバイトスタッフが辞めることがなくなり、売り上げのアップにも貢献できました。
*ポイント解説
高校時代とアルバイト、異なる場面で同じようなことが起きた2つのエピソードで、「常にそのようなことができる人材」ということが伝わります。総合商社の一般職を志望していますが、これらのエピソードから、「入社後も総合職のメンバーを支えながら、自主的に一般職との間をつなぎ、職場のムードを良くしていける」というイメージができます。入社後に活躍できる人材であることがよく伝わるアピールとなっています。
(2)好きなことを聞かれたケース
内定先企業:鉄鋼メーカー
私は自分で目標を決め、達成に向かって新しいことにチャレンジすることが好きです。留学先のアルバイトで、ダンス教室の立ち上げに携わったとき、経営者と二人三脚で、人集めから教室の運営まで行いました。受講生を集めるために、自らチラシを作成したり、ポスターを貼ってくれる店を探したり、受講者に口コミで広めてもらうようお願いしたり、地道なことを積み重ね、たくさんの人が参加し、楽しんでくれるようになりました。また、国内の立ち食いうどん店でアルバイトをしたときも、時間帯責任者を任され、バラバラだった老若男女のメンバーを仲良くさせるために声掛けを続けました。みんなの気持ちを一つにできたことで、トラブルのないスムーズな運営につなげることができました。
*ポイント解説
留学先と国内、2つの異なる場面において、それぞれの目標を達成したエピソードを伝えています。好きなことを聞かれた場合、自分の気持ちだけを伝えるケースは少なくありませんが、“好き”の根拠となるエピソードとして、「どんな目標を考え、どう行動し、どう結果を出したのか」をしっかりと表現できています。また、自分の“好き”を通じて、顧客やチームに良い影響を与えているため、仕事においても顧客やチームに自ら貢献していける力があることも伝わります。
自己分析は、就活の基盤だと考えよう
自己分析は、エントリーシートや面接だけに役立つものではなく、就活全般の基盤となるものです。客観的な視点を持ち、自分の性格を自覚しておくことで、企業研究の際にも、より自分に合う企業を見つけやすくなります。また、過去にやってきたこと、力を入れたことなどを思い出し、しっかり自己分析することで、さまざまな質問に対しても、根拠のあるエピソードでアピールすることができるようになるでしょう。
自己分析の詳しいやり方は、こちらの記事を参考にしましょう。
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