外資とは「外国資本」を意味する言葉で、海外からの出資で経営している国内の法人を外資系企業と呼びます。本記事では、外資系とされる法人の概要をはじめ、日系企業との違いや向いている人の特徴、就活で注意したいポイントなどを解説します。
外資系企業とは?
一定数の海外出資がある日本国内で事業を展開している企業全般を指して、外資系企業とするのが一般的ですが、現状では明確な定義はありません。
一例として、日本貿易振興機構(ジェトロ)が2025年3月25日に公開した「2024年度 外資系企業ビジネス実態調査」では、「外国資本比率にかかわらず外国企業・海外投資家が出資する法人」を外資系企業としています。
興味のある企業など、外資系かどうか調べたいときには、ホームページの会社概要にある本社所在地やその企業の歴史がわかる沿革、主要株主といった情報から、海外に関連しているかチェックしてみましょう。
外資系企業の分類
外資系企業は、出資の形態ごとに、おおまかに以下のような種類に分けられます。
海外企業出資100%の日本法人
海外企業からの全面的な出資により、日本で設立された子会社を指します。
共同出資企業
海外および国内企業の双方からの出資により、日本で設立された法人を指します。出資元となる、各企業のブランド・資本・技術などを連携させることで、市場拡大を図る目的で設立されるのが一般的です。
海外企業による買収・資本提携企業
もともとは国内出資で設立されたものの、海外企業による買収または資本提携が行われ、のちに外国資本が参入した法人を指します。外国資本比率などに応じて、後から参入した海外企業に経営の決定権が移っているケースも見られます。
外資系企業が多い業種はある?
業種によってバラツキは存在するものの、基本的に大きな偏りはなく、どの業種にも幅広く外資系企業は存在しています。もし特定の業種や外資系企業が気になるようであれば、業種ごとの主要企業を紹介した、「業界地図」などを見てみるのもオススメです。業界地図を見ると、外資系企業の名前が多く掲載されている業界もあります。また、業界地図で俯瞰(ふかん)的に見ることで、各業種における企業の立ち位置や、業種全体の構造なども理解しやすくなります。
外資系企業と日系企業の違いは?
出資元企業の経営方針や国の慣習などの影響から、日系企業とは労働環境が異なることがあります。中でも外資系企業の傾向として、次のような違いが見られる場合も多くあります。
ジョブ型の人員配置
多くの日系企業では、メンバーシップ型の人員配置が行われます。メンバーシップ型では、終身雇用・年功序列を前提とし、職務範囲を限定せずジョブローテーションなどにより適性を見極めながら、ゼネラリストとしての人材育成をすることが一般的です。
一方で外資系企業では、基本的には特定の職務内容に付随して人材を採用するジョブ型となることが多いのが特徴です。このジョブ型では、職種変更を伴うような異動を企業から求められることは少なく、在籍中は入社時に希望した配属先・職種のまま変更はありません。社内公募で自ら望んで職種を変更できるケースなどもありますが、あくまで本人次第で担当できる業務を決められるのが一般的です。
成果・実力主義の風潮が強い
基本的にジョブ型となる外資系企業では、特定分野の専門性に基づいた働きぶりが評価されることから、個人の成果や実力が重視される傾向にあります。個人の出した結果次第で評価が変わりやすく、年齢や社歴などによらず、実力によっては早期のうちから昇格・昇進ができるのも特徴です。
ただし成果・実力主義の風潮が強い分、個人のパフォーマンスに対する見方がシビアになりやすい一面もあります。場合によっては、特別退職金(severance pay)を伴う任意退職を提案するケースもあります。
とはいえ日本では、企業側による解雇は法律で強く規制されています。そのため日本に進出する外資系企業では、強制的なリストラはされないのが通常です。「期待通りの結果が出ていない」などの理由から、急な退職を迫られることはほぼないので、あまり過剰に身構える必要はないでしょう。
個人の実績による給与形態
日系企業では毎月決まった基本給を設定されるのが一般的ですが、外資系企業では出来高に応じた報酬が支給される給与形態となりやすい傾向にあります。完全な歩合制ではなくても、毎月固定の基本給にプラスして、個人の成果によるインセンティブを受け取れる外資系企業も多く見られます。
また、特に大きな業績を上げた社員に特別報奨金を支給する制度を取り入れているケースもよくあります。個人の実力次第で、年収アップ・高収入が目指しやすいのも外資系企業の特徴の一つといえるでしょう。
外資系企業に向いている人の特徴
外資系企業ならではの傾向を踏まえつつ、実際にどのような働き方を希望する場合に適しているのか、向いている人の特徴を紹介します。
- グローバルな環境で活躍したい人
- 主体的な姿勢で仕事に取り組みたい人
- 特定の分野で専門性を高めたい人
- 自分のキャリアを主体的に考え、構築していきたい人
- 実力・成果に応じた処遇を得たい人
- 自分のパフォーマンス次第で、早く責任ある仕事を経験したい人
各社で異なる部分もありますが、外資系企業ではさまざまな国籍の人と仕事をする場面や社内での外国語によるコミュニケーション、海外出張の機会が多くなる可能性も考えられます。こうしたグローバルな環境から、外資系企業の新卒採用では一定の語学スキルが求められやすく、外国語を学んだ経験などを生かしやすい傾向も見られます。
また成果・実力主義の風潮が強いことから、積極的に自分の考えやアイデアを生かして、試行錯誤しながら活躍しやすい環境ともいえます。例えば何かイベントを企画したり、チームを巻き込んで目標達成に導いたり、能動的に取り組んだ経験などがあれば、自分の強みとしてアピールしやすいでしょう。
また、外資系企業では、特定の分野に長(た)けた人材が求められやすく、自ら希望した職種で専門性を高めながら自律的にキャリアを形成しやすいのも特徴です。例えば金融営業・経営コンサルタント・エンジニアなど、一定の職種でスペシャリストとしてスキルを極めたい場合にも向いています。
外資系企業の選考を受ける場合の注意点
外資系企業を目指す就活では、採用選考の方法など、日系企業とは異なる部分もあります。次のような点には注意しておくとよいでしょう。
選考・内定時期が早くなりやすい
原則として政府が推奨する就活スケジュールは、「卒業・修了前年度の3月1日以降からエントリー開始、卒業・修了年度の6月1日以降から面接などの採用選考活動開始、10月1日以降で内定」です。
一方で、政府の推奨時期よりも早く選考を開始する企業が増えてきており、大学3年生の春学期ごろに選考が始まるケースも多く見られます。特に外資系企業では、選考時期が早い傾向にあり、大学3年生時点のインターンシップが選考を兼ねていることもあります。「インターンシップの参加=採用選考のエントリー」となる場合も珍しくないので、外資系企業を志望する際は注意が必要です。ちなみに外資系企業では、日系企業に比べて内定時期も早くなりやすい傾向にあります。
採用選考で外国語を使う可能性がある
企業ごとに異なりますが、グローバルに事業を展開する外資系企業では、選考の時点で外国語を使う可能性もあります。例えば、Webテスト・グループディスカッション・面接などで、英語をはじめとした外国語を使用するケースが見られます。
また企業によっては英語だけでなく、各社の海外文化に適した語学力が求められることもあります。外資系企業を志望する際には、英語以外の言語のスキルが必要なのか、事前に調べておくとよいでしょう。
グローバルな環境の程度は企業によって異なる
各社で社風などは大きく異なりますが、多国籍な人材と接したり、業務上で外国語を使用したりする機会が多い外資系企業は、もちろんいくつも存在します。中には国内外を横断して推進するプロジェクトや、グローバルな人材マネジメントに向けた幹部層育成の一環として、海外に行く可能性なども考えられます。
とはいえ、国内に拠点を置く外資系企業ではほとんどが日本人社員だったり、海外拠点とのやりとりがなかったりするケースも見られます。場合によっては、外国語を使う機会や海外出張が発生しない外資系企業もあります。むしろ、海外勤務を希望するなら、メガバンクや総合商社といった海外に拠点を展開している日系企業の方が実現しやすいということもあります。
そのため「外資系企業なら海外勤務ができそう」などのイメージだと、理想の働き方とはミスマッチになりやすいため、志望する外資系企業での実際の働き方については事前に調べておくことが大切です。海外で働きたいと考えている人は、グローバルに拠点を展開する日系企業も視野に入れて検討してみるとよいでしょう。
まとめ/外資系企業では成果・実力重視で活躍しやすい
外資系企業では、海外出資を含む事業形態から、グローバルな企業風土やジョブ型の働き方など日系企業ではあまり見られない文化も多く、成果・実力主義で活躍しやすいのも特徴です。もちろん企業によって、働く環境や社風などは大きく変わってくるので、興味のある外資系企業が出てきた際には詳しく調べてみましょう。もし気になる外資系企業があれば、リクナビで、インターンシップ&キャリア情報をチェックしてみてください。
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。
