残業は何時間? 育児休暇は取れるの? 求人情報でここまで分かる!

働き方の多様化を促進し、また若者が企業に定着して活躍することを支援するために、2015年に「若者雇用促進法」が施行されました。これは、職場環境にまつわる13項目の情報を、積極的に開示することを推奨するものです。これを契機に、残業時間や研修制度などを「求人情報」に記載する企業が増えてきました。企業選びのためには、これらの情報は非常に参考になりますから、ぜひ、確認しておきたいものです。
ところで、今回、開示を推奨された情報にはどんな項目があるのでしょう。また、その情報から、どんなことが読み取れるのでしょう? 自分らしく働ける企業を見つけるためにも、これらの情報について、チェックしておきましょう。

(1)企業を正しく知るためには、求人情報を理解することが近道

「求人情報」とは、「事業内容」「勤務地」「勤務時間」「給与」などの求職者(新卒・中途問わず)が働く上で必要とする、基本的な情報を指しています。企業の採用ホームページやリクナビなどの就職情報サイト、大学のキャリアセンターなどで確認することができます。また、企業や情報サイトによっては「募集概要」「応募要項」「採用情報」などと呼んでいることもあります。(リクナビでは、「採用情報」として各企業ページで紹介)

言うまでもなく、企業を正しく知るためには、このような基本的な求人情報を理解することは非常に重要です。その企業はどんな業務を行っていて、自分が入社したらどんな場所で働くのか、給与や休日の制度はどうなっているのか、といったことは、事前に調べておくことをおすすめします。そうしないと、入社前のイメージと入社後の実際の姿のギャップが大きくて「こんなはずじゃなかった…」ということにもなりかねないからです。入社後も納得して仕事ができるように、自分でも最低限の情報は押さえておくように心掛けましょう。

これに加えて、2015年10月に施行された「若者雇用促進法」では、より企業のリアルな姿を、学生が正しく知る手がかりになるようにと、「固定残業代」「職場情報」の開示を企業に求める(努力義務)ようになりました。
このうち、職場情報に関するものは、「青少年雇用情報」と呼ばれており、3類型13項目が設定され、各類型で1つ以上の開示をするように求めています。

残業は何時間? 育児休暇は取れるの? 求人情報でここまで分かる!

 

(2)就活生なら知っておきたい! 青少年雇用情報13項目で、どんなことが分かる?

 

(ア)募集・採用に関する状況

-過去3年間の新卒採用者数・離職者数
過去3年間の新卒採用者が何人だったか、そして新卒入社者がこの3年間でどれだけ離職したのかが記載されています。

この数字は、新卒でその企業に入った社員の定着率の目安になりますが、数字の読み取り方には少し注意が必要です。採用者数や離職者数は、企業そのものの特性に左右されるほか、「企業の従業員数」や「属する業界」によっても平均値が大きく異なってきます。1社だけを見て、「この企業は、離職者数が多いからやめよう!」と判断するのは早計です。同業他社や、他業界の企業などとも比較する視点を持ったうえで判断するように心掛けましょう。

-過去3年間の新卒採用者数の男女別人数
掲載年からさかのぼって、過去3年間の新卒採用者の男女の内訳が記載されています。

企業や業界によって、男女比の特色や傾向はあります。もしその理由が気になった場合は、ぜひOB・OG訪問や会社説明会、面接などの時に積極的に聞いてみましょう。

-平均勤続年数
その企業で働く社員の勤続年数の平均値を記載しています。

「平均勤続年数」を見る際にも「新卒者数と離職者数」と同様に、企業そのものの特性に左右されるほか、「企業の従業員数」や「属する業界」によっても平均値が大きく異なってきます。こちらも、上記と同じく1社だけを見て、「この企業は、平均勤続年数が短いからやめよう!」とすぐに判断をするのではなく、同業他社、他の業界の企業などを複数見て、自分に合う企業かどうか、考えてみましょう。

-(平均年齢)
その企業で働く社員の平均年齢を記載しています。

一般的には平均年齢が若い企業は、若手の発言の場や活躍の場が多いことが想像されます。一方、平均年齢が高い企業は、経験豊富な先輩社員に指導してもらえたり、じっくり時間をかけて業務知識を習熟していけたりすることが想像されます。もちろん、実際のところは個別の企業の風土や業種によって大きく異なりますので、OB・OG訪問や会社説明会、面接などで確認することをおすすめします。

(イ)職業能力の開発・向上に関する状況

-研修の有無とその内容
社員に対して継続的に実施されていて、そのことが社員に周知されている研修の有無と、具体的な対象者または内容を指します。つまり、研修への必須参加・任意参加に関わらず、その制度自体を社員が認知しているような研修について、ここで知ることができます。

必須参加であることが多いのは、新入社員導入研修、3年目社員研修など。また、任意参加は、語学研修、海外留学制度などが例として挙げられます。語学研修や海外留学制度は、参加資格として、一定の条件を満たすことが求められたり、対象者が限定されたりするケースもあります。

-自己啓発支援の有無とその内容
社員が自発的に仕事に必要な能力を身につけ、高めるために必要な援助の有無と、具体的な内容(例えば、資格取得の費用補助、英会話スクールの会費補助など)がわかります。

-メンター制度の有無
新卒入社の社員が仕事に必要な能力を身につけ、高める上で、あるいは社会人生活を送る上での相談に応じたり、助言・援助を行ったりする社員(「メンター」と呼ばれる)がつく制度の有無を記載しています。

-キャリアコンサルティング制度の有無及び内容
社員が仕事に必要な能力の開発・向上や、キャリアプラン等について相談したり、助言・指導を受けたりする機会(キャリアコンサルティング)が企業内の仕組みとして実施されているかどうかを記載しています。
社員の年齢、就業年数、役職などの節目において定期的にキャリアコンサルティングを受ける機会を設定する仕組み(セルフ・キャリアドック)がある場合は、その概要が書かれています。

-社内検定などの制度の有無と内容
仕事をする上で必要とされる知識やスキルに関する社内検定制度や、業界で共通の検定制度を活用した社内制度の有無と、具体的な内容を記載しています。
例えば、就職や転職を扱う人材業界の企業では、「個人情報の取り扱いについて」などの検定を自社内で設け、それに合格することを必須としていることもあります。

(ウ)企業における雇用管理に関する状況

-前年度の月平均所定外労働時間の実績
直近の年度における、社員1人あたりの月平均所定外労働時間を記載しています。
所定外労働時間とは、所定労働時間を超えて労働した時間のこと。所定労働時間は、企業がそれぞれ、法定労働時間(最大で1日8時間、1週間40時間、1週間1日以上の休日)の範囲で決めています。

なお、所定外労働時間とは、「残業時間」のことを示しています。したがって、「この企業ではどのくらいの残業が発生しているのか」を、この項目で確認することができるでしょう。

-前年度の有給休暇の平均取得日数
直近の年度における、社員1人あたりの有給休暇の平均取得日数が記載されています。

例えば、「有給休暇取得奨励日」を設定し、社員の働き方を支援している企業もあります。有給休暇の平均取得日数は、社員として当然行使できる権利を、社員がどのくらい活用できているのかを知る良い機会です。

-前年度の育児休業取得対象者数・取得者数(男女別)
直近の年度における、男女別の育児休業の取得対象者数と取得者数を紹介しています。女性については「出産した人数と、育児休業を取得した人数」、男性については「配偶者が出産した人数と、育児休業を取得した人数」を記載しています。ただし、男性と女性によって、意味や平均値が大きく異なることに注意してください。

近年、ワークライフバランス、ダイバーシティなど、「多様な働き方」を支援する動きが加速しています。有給休暇取得日数や育児休業取得者数を始めとして、企業の福利厚生は働く上でとても大切な要素の一つです。企業が公開しているこのような情報が、自分の目指す働き方、自分の理想とするキャリアプランに合っているかどうか、ぜひ自分の目で調べるように心がけてください。

-役員に占める女性の割合と管理職に占める女性の割合
役員に占める女性の割合と、管理職に相当する社員(原則課長以上)に占める女性の割合を記載しています。

女性の社会的進出が当たり前になってきたものの、男性に比べると役職者の人数は少ないのが現状です。しかし、より女性の働き方を支援している企業、より女性のキャリアアップを応援している企業もあるのです。自分に合った企業を探してみましょう。

(3)リクナビを使って、情報開示の多い企業を探してみよう

リクナビでは、「若者雇用促進法」の施行を受けて、青少年雇用情報の「職場情報の提供」の基づく13項目を積極的に公開している企業をまとめた特集ページを作っています。
自分の気になる項目を調べてみましょう。

▼2025年卒向け詳細情報▼
特集「積極的に職場情報を公開している企業

知りたい職場情報を選択して検索します。そこに「業種」、「本社所在地」を掛け合わせで調べることもできるので、よりあなたにフィットした企業を見つけることが出来るでしょう。

【リクナビTOPページから見る場合】
1. リクナビTOPへ
2. 下部の「特集」までスクロール
3. 「職場情報を積極公開している企業」をクリック

 

(4)情報だけで企業を判断する前に…気を付けたいこと

 

現時点で開示されている情報だけに、とらわれない

開示されている情報を参考にすることは大切ですが、と同時に、気になる点があれば、企業の人事担当者や先輩社員などに聞くようにしましょう。企業はいわば「生き物」です。制度が今後変わることもありえますし、公表されている項目以外にも、あなたが魅力に感じる点があるかもしれません。なお、質問する際は、社会人のマナーとして「なぜ知りたいのか」ということもきちんと伝えるのを忘れないようにしてください。

 

リクナビでは、これ以外にも「若手リーダーが活躍する企業」や「強みを活かして働ける企業」など、さまざまな特集を一覧で紹介しています。ぜひ、参考にしてみましょう。

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記事作成日:2017年5月19日
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