就活の選考で行われるグループワークについて、「具体的にどんなことをするの?」「どう立ち振る舞えば評価されるの?」と不安を感じている人もいるのではないでしょうか。
事前にポイントを押さえることで、当日も落ち着いて行動でき、自分の強みを活かして参加することができるでしょう。
本記事では、グループワークの基本的な進め方から役割別の参加時のコツ、事前準備のポイントなどを解説します。
目次
グループワークとは?
グループワークとは、複数人で1つの課題に取り組みながら、グループの中でどのように行動し、成果に貢献できるかを見られる選考形式です。
個人の発言力や知識量だけでなく、周囲と協力する姿勢や、限られた時間の中で課題を整理して、形にしていく段取り力が重視されます。
実際の仕事に近い状況を通じて、協調性や役割への向き合い方、グループで成果を出す力を確認することが目的です。
グループディスカッションとの違い
グループワークと混同しやすい選考形式に、グループディスカッションがあります。
グループディスカッションは「議論への参加姿勢」が中心に見られるのに対し、グループワークは「成果を出すためにどう動いたか」までが評価の対象です。発言の量よりも、役割を決めて作業を進める、意見を整理して結論をまとめるなど、成果につながる行動が重視されます。
| 選考形式 | 評価の中心 | 主に見られるポイント |
| グループディスカッション | 議論への参加 | ・自分の考えを論理的に伝えられるか ・周囲の意見を踏まえて発言できるか |
| グループワーク | 成果への貢献 | ・役割を意識して行動できるか ・グループとして成果を出すための工夫ができるか |
対面形式とオンライン形式の2種類がある
グループワークには、大きく分けて対面形式とオンライン形式の2種類があります。
| 形式 | 特徴 |
| 対面形式 | 発言内容に加えて、表情や姿勢、周囲とのかかわり方など、その場の空気感や立ち振る舞いが評価される |
| オンライン形式 | 発言内容に加えて、画面共有やチャットを使った情報整理、言葉選びや発言タイミングなどの工夫が評価される |
形式によって見られるポイントは異なりますが、どちらの場合もグループの中で状況に応じた行動ができているかが評価されます。
企業がグループワークを実施する理由
企業がグループワークを選考に取り入れる目的は、チームで働く場面で自分の力をどのように発揮できるかを確認するためです。
ここでは、企業がグループワークを実施する理由を詳しく見ていきましょう。
グループで成果を出す力があるかを見極めるため
グループワークでは、個人の能力の高さだけでなく、周囲と協力しながらグループとして成果を出そうとする姿勢が特に重視されます。
必ずしもリーダー役の評価が高いのではなく、自分の特性にあった役割でグループにかかわることができるかが重要です。
実際の仕事でも、メンバーそれぞれが役割を担い、お互いに補い合いながら業務を進める場面は少なくありません。
その過程で、役割に対する取り組み方や意見が分かれた際の対応、メンバー同士のかかわり方を通して、チームワークを発揮できているかが確認されています。
入社後の実務に近い形で行動特性を確認するため
グループワークは、入社後の実務に近い状況を想定して行われる選考です。
実際の仕事では、限られた時間の中でグループとして課題に取り組み、役割分担をしながら成果を出す力が求められます。
グループワークを通じて、課題への向き合い方や考え方、周囲とのかかわり方を見ることで、入社後にどのように働くかを具体的にイメージしています。
指示待ちではなく主体的に動けるかを判断するため
グループワークでは、与えられた指示をこなすだけでなく、状況を見ながら自ら考えて行動できるかも見られています。
実際の仕事では、常に明確な指示が用意されているとは限らず、その場に応じた判断や工夫が求められることも少なくありません。
議論が停滞した時に意見を出したり、課題に気づいて行動を起こしたりする姿勢から、主体性や柔軟な対応力が評価されています。
グループワークの主な種類
グループワークにはいくつかの種類があり、形式によって求められる力や参加時のポイントが異なります。
ここでは、選考でよく実施される代表的な3つのタイプを紹介します。
プレゼン型
プレゼン型とは、与えられたテーマに対してグループでアイデアをまとめ、最終的にプレゼンテーションを行う形式です。
例えば、「新商品の販売戦略を立案してください」などのテーマがあり、企画力や論理的思考力に加え、意見を整理してわかりやすく伝える力が求められます。
オンライン形式の場合は、共同で編集できるツールを使い、限られた時間で資料を仕上げるスキルも重要です。
作業型
作業型とは、実際に手を動かしながら課題に取り組む形式です。例えば「A4用紙だけで最も高いタワーを作ってください」といったテーマが代表的で、役割分担や協力しながら進める力が見られます。
オンライン形式の場合は、共同で編集できるツールを使って情報を整理・集計しながら作業を進める過程そのものが、評価につながることも多いでしょう。
ゲーム型
ゲーム型とは、制限条件の中で最適な判断を導くゲーム形式のグループワークです。例えば「NASAゲーム」が代表例として知られています。
NASAゲームとは、宇宙船のトラブルを想定し、限られた物資の中で「何を優先して持ち出すか」をグループで話し合い、順位付けするゲームです。
意見が割れやすいテーマなので、最終的な結論だけでなく、結論に至るまでにどのように意見をすり合わせたかという話し合いの過程も見られています。
オンライン形式では、相手の表情や場の空気が伝わりにくいため、意見を理由とセットで説明する力や、出てきた意見を整理しまとめる力がより重要になります。
グループワークの基本的な進め方5ステップ
グループワークの進め方をあらかじめ理解しておくことで、状況を把握しやすくなり、役割にかかわらず主体的に動きやすくなるでしょう。
ここでは、多くのグループワークに共通する進め方を5ステップで紹介します。
ステップ1:役割の決定と時間配分の共有
グループワークの冒頭では、まず役割分担と時間配分を決めましょう。開始直後にリーダーや書記などの役割を決めておくことで、議論や作業がスムーズに進みやすくなります。
併せて終了時間から逆算し、「何分までに何を終えるか」を共有しておくことも欠かせません。これにより、議論が長引いたり、成果物が未完成のまま終わったりするリスクを防ぐことができます。
ステップ2:課題の整理とゴール設定
役割と時間配分が決まったら、次に行うのが課題の整理とゴール設定です。テーマの内容を正確に読み取り、「誰に向けた企画なのか」「守るべき条件やルールは何か」といった前提を整理します。
その上で、最終的にどのような成果物を完成させるのかを、グループ全員で認識をそろえておくことが重要です。
ゴールが曖昧なまま進めてしまうと、後半で方向性がずれてしまう恐れがあります。
ステップ3:アイデア出し・情報の整理
ゴールが明確になったら、アイデア出しと情報の整理に進みます。まずは一人ひとりの意見や案を出し合い、できるだけ多くの選択肢を共有しましょう。この段階では、すぐに良し悪しを判断する必要はありません。
出てきた意見や情報は、共通点ごとにまとめて整理していきます。考えを可視化することで、議論の方向性が見えやすくなります。
ステップ4:結論のまとめ・成果物の作成
グループワークの中でも、特に重要なのがこの工程です。
これまでに出た意見や整理した情報を基に、グループとしての結論をまとめ、成果物の形に落とし込みます。
議論を続けること自体が目的にならないよう、残り時間の半分程度を目安に、まとめの作業に移る意識をもちましょう。
成果物の作成では、何を伝えるかを明確にし、第三者にも伝わる形で表現することが大切です。
作成の際には、内容をまとめる人と資料を整える人に分け、同時並行で進めるとスムーズになります。見出しや図解、箇条書きなどを使い、読み手が短時間で理解できる形に仕上げましょう。
ステップ5:発表
完成した成果物を基に、グループとして発表を行います。
内容の正確さだけでなく、限られた時間の中で要点をわかりやすく伝えられているかどうかも評価のポイントです。結論から述べ、その理由や背景を簡潔に補足すると伝わりやすくなります。
また、発表担当者以外のメンバーも補足や質疑応答に対応できると、グループとしての一体感が伝わります。最後まで協力してやり切る姿勢を大切にしましょう。
グループワーク中に意識しておきたい役割別のポイント
グループワークでは、役割ごとに求められる行動や立ち振る舞いが異なります。ただし、評価されるのは役割名そのものではありません。その役割を通じて、グループにどのように貢献したかが見られています。
ここでは、各役割の概要と、役割別に意識しておきたいポイントを確認していきましょう。
司会(ファシリテーター)
司会は、議論全体を進行する役割です。自分の意見を押し通すよりも、メンバーの発言を引き出し、話し合いが偏らないよう調整する姿勢が求められます。
オンライン形式では沈黙が生まれやすいため、「〇〇さんはどう思いますか?」と名前を挙げて意見を促すなど、場を動かす働きかけが効果的です。
タイムキーパー
タイムキーパーは、グループワーク全体の時間管理を担う役割です。残り時間を伝えるだけでなく、「そろそろ結論をまとめましょう」といった形で次の行動を促せると、進行への貢献が伝わります。
オンライン形式の場合は、チャットで定期的に時間を共有しておくことで、議論を止めずに進行を支えやすくなります。
書記
書記は、議論の内容を記録する役割です。発言をそのまま書き写すのではなく、要点を整理し、構造的にまとめることが重要になります。
オンライン形式では、画面共有をしながらメモを作成することで、認識のずれを防ぎ、グループ全体の理解をそろえやすくなります。
役割なし
明確な役割がなくても、評価のチャンスがなくなるわけではありません。
むしろ、形式的な役割にとらわれず、自身の特性を活かせる貢献ポイントを見つけて、議論を前に進める動きは評価されやすいポイントです。
例えば、アイデアを出して議論を活性化する、意見を整理して論点を明確にする、相槌や声かけで雰囲気を整えるなども立派な役割です。
オンライン形式では、リアクション機能やチャット機能を活用し、発言のきっかけを作ったり、要点を補足したりすると議論を後押しできます。
グループワークで企業が見ている4つの評価ポイント
グループワークでは、個人の能力の高さそのものよりも、グループの中でどのように行動し、力を発揮しているかが特に重視されます。
特定のスキルを目立たせようとするよりも、自分の特性を活かしながら、グループ全体の成果にどのように貢献できているかが評価のポイントです。
ここでは、グループワークで企業が見ている代表的な4つの評価ポイントを解説していきます。
協調性:自分よりグループの成果を優先する姿勢
自分の意見を強く主張することよりも、グループとして最適な結論を導こうとする姿勢が評価されます。
意見が対立した場合でも、一方的に自分の考えを押し通すのではなく、相手の考えを尊重しながら調整できるかが重要なポイントになります。
主体性:議論や作業を自ら推進する力
指示を待つだけでなく、状況を見て「今何をすべきか」を考え、行動に移すことができているかが見られています。
議論が停滞している場面で声をかけたり、必要な作業を進んで引き受けたりする姿勢は、主体性として評価につながります。
論理性:ゴールから逆算する段取り力
感情や思いつきではなく、ゴールを見据えて考え、行動できているかも重要です。
限られた時間の中で優先順位を整理し、根拠をもって意見を伝えられているかが確認されています。
対人力:周囲への配慮と巻き込む力
周囲の状況に目を配り、発言が少ない人に声をかけて意見を引き出したり、出た意見の要点を整理して共有したりできると貢献が伝わります。
対立が生じた場面でも感情的にならず、建設的に話をまとめていく姿勢が求められます。
グループワーク中に意識しておきたい注意点
評価ポイントを押さえていても、進め方を誤るとグループの動きが止まり、成果物の完成度にも影響が出やすくなります。
グループワークは、限られた時間の中で議論と成果物の作成を両立させる必要があるため、途中で起きる認識のずれや停滞を早めに立て直す意識が欠かせません。
ここでは、グループワークで起こりやすい場面を基に、注意しておきたいポイントを紹介します。
論破しようとしてしまう
グループワークは、ディベートのように議論で勝つことが目的ではありません。勝ち負けを競うのではなく、お互いの意見を尊重しながら調整し、グループで成果物を完成させることがゴールです。
意見が分かれた時は、相手を言い負かすのではなく、もう1度、ゴールと優先順位を共有し、論点を整理してから方向性を探っていきましょう。
反対意見を出す場合も、否定から入るのではなく、理由と代案をセットで伝えると、議論を前に進めやすくなります。
成果物のゴールを共有しないまま作業を始めてしまう
最終的な成果物のイメージを共有しないまま作業を進めると、各自が別の方向を向き、内容が噛み合わなくなってしまいます。
時間が限られているグループワークでは、このずれが後半に表面化しやすくなります。
途中でも「ゴールは何か」「方向性は合っているか」を確認し、必要に応じて軌道修正を促せる姿勢は、グループ全体を意識した行動として評価につながります。
時間配分を意識せず、アウトプットが未完成になる
議論に集中しすぎると、まとめの時間が足りなくなり、成果物が未完成のまま終わってしまうことがあります。
どれだけ良い議論をしていても、形として提出できなければ評価につながりにくい点は注意が必要です。
完成度にこだわりすぎず、残り時間を見て議論を切り上げ、時間内に形にできる判断力が評価されます。
役割にとらわれすぎてグループ全体を見られない
自分に与えられた役割だけに集中しすぎると、議論の停滞や進行の遅れに気づきにくくなることがあります。
役割を果たすことは大切ですが、状況に応じてほかの作業を手助けしたり、全体の流れを確認したりできる姿勢が求められます。
グループ全体を見ながら柔軟に動けているかどうかも、評価のポイントです。
グループワーク前にやっておきたい5つの準備
グループワークは当日の対応力が問われる一方で、事前に準備しておけるポイントもあります。企業が見ている観点を押さえた上で、自分の強みが活きる動き方をイメージしておくと安心です。
企業が求める人物像を認識しておく
グループワークでは、まず企業が求める人物像を把握しておくことが大切です。募集要項や採用サイトを確認し、「この会社で仕事をする上で、どんな姿勢や行動が求められそうか」を考えてから臨むと、強みの方向性がずれにくくなります。
例えば、チームワーク重視の企業で無理に仕切ると協調性が欠けて見えることがあります。反対に、スピード感を求める企業で懸念点ばかりを挙げると、推進力が伝わりにくくなるかもしれません。
企業が求める人物像を踏まえ、自分の強みの出し方を調整しましょう。
自分に向いている役割を把握しておく
グループワークでは、司会、タイムキーパー、書記など自分に向いている役割を把握しておくことが大切です。
形式的な役割がある人だけが評価されるわけではなく、進行を整える調整役、発想を広げるアイデア出し役、意見を整理してまとめる役など、グループにはさまざまな役割があります。どの役割も重要であり、適切に果たせば同じように評価されます。
部活動やアルバイトなどの経験を振り返り、自分がどの立ち位置で力を発揮しやすいかを整理しておきましょう。
強みが活きる役割が見えていると、無理に目立たなくても主体的に貢献しやすくなります。
頻出テーマと進め方を把握しておく
よく出題されるテーマには、「売り上げ向上」「新規事業立案」などがあります。こうしたテーマでは「課題・原因・改善」の視点で考えることが多いため、事前に押さえておくと意見が出しやすくなります。
併せて、「課題を整理し、解決策を考え、取り組む順番を決める」といった流れも頭に入れておきましょう。この進め方を知っておくだけでも、議論を整理したり、次に決めることを提案したりしやすくなります。
議論を前に進める発言の仕方を押さえておく
任された役割を果たすだけでなく、議論が前に進むようにかかわる姿勢も評価されます。例えば、賛成の理由を補足する、懸念点を簡潔に伝える、出てきた意見の要点を整理するなど、その時に必要な発言ができると、グループへの貢献が伝わりやすいでしょう。
また、「結論から話す」「理由を短く添える」といった発言の仕方を習慣づけておくと、限られた時間でも要点を伝えやすくなります。
制限時間を意識した発言・作業の練習をする
制限時間内に成果物を完成させるには、時間感覚を身につけておくことが大切です。「1分で意見を述べる」「10分で資料をまとめる」など、時間を区切って練習しておくと、本番でも落ち着いて動きやすくなります。
完成度にこだわりすぎず、優先順位をつけて時間内に形にする判断ができるかどうかも、評価されるポイントです。
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