「業界研究のやり方」と検索したら、様々な方法が出てきます。関連する本も数多く出版されています。調べれば調べるほど、「何をやっていいのか?」と不安になると思います。
タイトルにもある通り、業界を理解するための読み物としては、『会社四季報業界地図』を読めば十分です。欲を言えば、複数年度分を読んで、どういう傾向の変化が起こっているのかを把握するようにしましょう。
読み物で知識を蓄えたら、あとはその業界で働いている人に話を聞きます。選考の場でとにかく質問をしましょう。事前に四季報を読んで、気になることを整理して、企業の人に質問する。四季報に書いてあることは、その業界を大きく捉えた動向なので、企業規模や企業のスタンスによっては、市場感と全く違う受け取り方をしている場合があります。なので、その業界で働いている人に話を聞くことで、業界の理解が深まります。
次に、志望業界の広げ方について言及します。志望業界を広げることが正しいとは思いませんが、就活中の学生と話していて、「それってその業界にこだわる必要ある?」と思うことがあるので、この部分にも触れていきます。
志望業界を広げる時に効果的なのは、「自分が仕事を通して実現したいこと」から逆算することです。自分との対話を疎かにした状態で志望業界を見つけにいっても、志望動機と繋げることができずに、志望動機が支離滅裂になってしまいます。
「自分が仕事を通して実現したいこと」を言語化したら、それを実現できそうな業界で働いている社会人の方と壁打ちをするのがオススメです。その業界で仕事をしていると、広い視点でその業界を捉えることができますし、他の業界との繋がりを理解できたりして、業界の理解度が深まっていきます。そういう方との話を通して、就活生という立場では把握できない領域にも視点を広げることができるので、絶対にやった方がいいです。
あとは、自分が通っている学校で、同じ学部学科の先輩がどのような企業に就職しているかという情報を集めるのもオススメです。その情報を眺めるだけでも、「こういう選択肢もあるんだな」という気づきを得ることができます。
最後に、業界研究をする上での前提について触れます。それは、「自分自身が興味を持てるか?」「その業界で働いている自分をイメージしてワクワクするか?」「その業界で働くことで自分のビジョンを叶えられそうか?」という自己分析をして、主体的にその業界を知りに行くということです。「周りが受けてるから」とか「成長軌道に乗ってる業界だから」とか、そういう理由はその業界を調べるキッカケになりますけど、自分の好奇心がくすぐられないなら、受けない方がいいです。上述したように志望動機が支離滅裂になって、受けてても面白くないですから。
業界研究は、徹底した自己分析とセットにしないと意味がありません。なぜなら、その業界で働く理由や、その会社で働く理由は、自分の理想とする未来とのすり合わせによって生まれるものであり、自分と向き合わずに業界や会社だけを見ていても、そこに身を置いて働く理由は見えてこないからです。もし、「働きたいと思う業界がないなぁ」という状態にいるなら、やるべきなのは業界研究ではなくて自己分析なのかもしれません。