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川崎汽船株式会社

水運

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初回掲載日:2026年5月27日

企業研究

42件の情報源

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企業の特徴

完成車・資源・エネルギー・日用品を、海を軸に世界へ運ぶ総合物流会社。

  • 外国航路を中心に、日用品のコンテナ、鉄鉱石や石炭、完成車、LNGまで運ぶ会社。海上輸送に加えて、港のターミナル事業や物流事業も持つ。

  • 荷物ごとに事業を分けているのが特徴。ドライバルク船、自動車船、LNG船、原油・LPG事業、洋上風力関連事業まで並べて持ち、船の種類と相手先が違う仕事を束ねている。

  • 1919年に設立し、戦後は船隊を立て直しながら、コンテナ船、自動車船、LNG船へ広げてきた。古い会社だが、事業の広げ方はかなり実務的。

  • コンテナ船では日用品や電気製品を世界へ運び、自動車船では完成車を港から港へ届ける。大量のモノを、決まった航路で動かすのがこの会社の基本動作。

  • 日本の大手外航海運の一社として、国内外のグループ会社から地域の市場の声を集めて動く。世界各地の需要に合わせて、同じ海運でも地域ごとにやり方を変えている。

  • 中期経営計画では、低炭素・脱炭素に役立つ事業を成長機会として置き、環境対応の船やCO2回収の実証にも関わる。運ぶだけでなく、海運の変化に合わせて事業を動かしている。

用語ミニ辞典

  • コンテナ船:箱に入れた日用品や電気製品を、コンテナごと運ぶ船。

  • ドライバルク船:鉄鉱石や石炭、木材チップなどを、袋詰めせずにばらで積んで運ぶ船。

  • LNG船:液化天然ガスを運ぶ船。

創業ストーリー

  1. 創業

    1919年、川崎汽船は川崎造船所の海運事業を母体に生まれた。きっかけは、第一次世界大戦を見込んで造ったストックボートが、戦争の終わりが早く来たため余ってしまったことだった。ふつうなら外へ売るところを、11隻を現物出資して海運会社をつくり、日本に船を残して自分たちで運ぶ道を選んだ。余った船を処分する話ではなく、国内に新しい海運会社を立てる話に変えたところから、この会社は始まっている。

  2. 転換点

    戦後は沈没した『聖川丸』を引き揚げて船隊を立て直し、1960年代には資源や原材料の輸送需要の広がりに合わせて、用途を絞った船へ切り替えていった。1968年には初のコンテナ船を北米航路に入れ、1970年には日本初の自動車専用船『第十とよた丸』を就航。完成車をそのまま積むやり方に変えたことで、在来の荷役で起きる傷や、帰り荷や天候待ちによる遅れを減らす方向へ進んだ。輸送の形そのものを変えた転換点だった。

  3. 現在

    今の川崎汽船は、大きく『自営事業』と、ONEが担うコンテナ船事業の2本立て。自営事業の中では、自動車船、鉄鋼原料、LNG輸送船が、現行の中期経営計画で『成長を牽引する役割を担う3事業』として置かれている。2025年度の売上高は、製品物流6,164億円、ドライバルク2,927億円、エネルギー資源1,006億円で、売上の重みは製品物流が最も大きい。

  4. これから

    これからは、海運を低炭素に変える投資が軸になる。2050年GHG排出ネットゼロを掲げ、2026年までに約3,300億円を投じて、LNG/LPG燃料船、バイオ燃料、アンモニアや水素燃料、Seawing、K-IMSによる効率運航、船上CO2回収を進める。LNG/LPG燃料船は2030年までに約35隻投入予定で、自動車運搬船では2026年までに累計13隻のLNG燃料焚き投入を決めている。あわせて、日本・アジア・オセアニアの洋上風力発電支援船事業も育てる。

用語ミニ辞典

  • 自営事業:川崎汽船が自分で船を持ち、運航する事業。自動車船、鉄鋼原料、LNG輸送船などがここに入る。

  • ONE:OCEAN NETWORK EXPRESSの略。川崎汽船、日本郵船、商船三井が一緒に運営するコンテナ船会社。

  • GHG:温室効果ガス。二酸化炭素など、地球を温める原因になる気体。

  • Seawing:船首に大きなカイトを付け、風の力で船の推進を助ける仕組み。

  • LNG:天然ガスを冷やして液体にした燃料。船の燃料としても使う。

  • 中期経営計画:会社が数年先までの目標と投資の順番を決める計画。

主力事業/サービス

  • ドライバルク船事業鉄鉱石、石炭、穀物のようなばら積み貨物を、世界の産地から工場や発電所へ運ぶ仕事。オーストラリアやブラジルの鉄鉱石、中国向けの鉄鉱石、発電用の石炭、北米や南米の穀物などを扱います。林産資源やバイオマス燃料にも対応していて、資源の種類ごとに違う船と運び方を使い分けるのが特徴です。
  • 自動車船事業完成車を船で運ぶ仕事。1970年に日本初の自動車専用船を入れてから、世界各地の工場でできた車を港から港へ運んでいます。車を傷つけずに運ぶことにこだわり、荷役中や航海中のダメージを減らす工夫を続けているのが強みです。
  • LNG船事業液化天然ガスを運ぶ仕事。1983年に日本初のLNG船を保有・管理して以来、日本向けだけでなく、世界各地のLNGプロジェクトにも関わっています。エネルギー需要の広がりに合わせて船団を増やしてきた事業で、電力や産業の燃料を支える役割が大きいです。
  • CCS事業工場や発電所から出るCO2を、液化して運び、地中にためる流れを支える仕事。CCSは、二酸化炭素を回収して地下深くの安定した地層に貯留する技術で、脱炭素の手段の一つです。川崎汽船は液化CO2輸送の実務経験と運航ノウハウを活かし、回収から貯留までの流れの中で船で運ぶ部分を担おうとしています。
  • 原油・LPG事業原油とLPGを海で運ぶ仕事。国内外の荷主向けに原油やLPGの海上輸送を担うほか、ブラジル沖では海底油田を掘る船、ブラジル沖とガーナ沖では海に浮かぶ生産・貯蔵・積み出し設備が動いています。燃料の輸送だけでなく、将来広がるアンモニアなど新しいエネルギーの輸送も見ている点がこの事業の広さです。
  • 洋上風力関連事業海の上に立つ風車の建設や保守を支える仕事。作業船、輸送船、地質調査船などを使って、洋上風力発電の現場を支えています。日本・アジア・オセアニアでの支援に取り組んでいて、発電そのものではなく、海上での工事や点検を回す役目が中心です。
  • 電力事業石炭火力発電所に燃料の石炭を運ぶ仕事。1994年に電力炭輸送船ブランド『コロナシリーズ』の第1船を竣工し、国内の石炭火力発電所向けに輸送サービスを続けています。発電所の岸壁条件に合わせた幅広浅喫水船を使い、積みやすさと運びやすさを両立させているのが特徴です。
  • 燃料戦略事業船を動かすための燃料を手当てし、次の燃料も広げる仕事。重油や軽油だけでなく、LNGやバイオ燃料、メタノール、アンモニアまで扱い、LNG燃料補給船『かぐや』のような取り組みもあります。航路を走る船を運ぶ事業ではなく、船に入れる燃料の調達と供給を押さえるところが、この会社らしいポイントです。
  • コンテナ船事業日用品や部品、原料素材をコンテナで運ぶ仕事。2018年4月以降は、川崎汽船、商船三井、日本郵船の3社が作ったONEに統合され、世界の航路網を使って輸送しています。需要の変化に合わせやすい航路網で、安定したサービスと競争力のある運航を目指しているのが特徴です。
  • 物流事業海上輸送だけでなく、航空、陸上、倉庫までつないで荷物を動かす仕事。航空・海上貨物の輸送手配、陸上輸送、倉庫保管、自動車の一時保管や納車前整備まで、輸送の前後もまとめて扱います。船会社の仕事を土台にしながら、出し手から届け先までまとめて面倒を見るのがこの事業の違いです。

業界全体を理解する

「物流業界」とは?

物流業界は、生産者から消費者の手元に商品が届くまでの「モノの流れ」全体を支える業界です。トラックや船、飛行機、鉄道といった多様な手段で荷物を運ぶだけでなく、倉庫での保管、仕分け、梱包、さらにはそれらを管理する情報システムまで、多岐にわたるサービスを提供しています。私たちの生活に欠かせない商品が、必要な時に必要な場所へ届くのは、この業界の働きがあるからです。

  • 業界でやっていること

    物流業界では、単に荷物を運ぶだけでなく、さまざまな工程が連携して価値を生み出しています。例えば、『保管』では商品を適切な環境で預かり、『荷役』で倉庫への出し入れや仕分けを行います。『包装(梱包)』で商品を安全に包み、『輸送(配送)』でトラックや船、飛行機などを使い目的地へ届けます。さらに、これらの動きを『情報処理』で管理し、どこに何があるかを常に把握。これらの工程がバケツリレーのように繋がり、私たちがオンラインで注文した商品が翌日に届くといったスムーズな体験を支えています。

  • この業界を見るポイント

    物流業界の企業を見る際は、「何を、どのように運んでいるか」に注目すると、その会社の個性がよく見えてきます。例えば、国内の小包を個人宅へ届ける「宅配便」が中心なのか、それとも工場から工場へ部品を運ぶ「企業間物流」がメインなのか。また、トラック輸送に強いのか、それとも国際的な海上輸送や航空輸送に強みがあるのか。さらに、倉庫での保管や仕分けといった「物流センター機能」に力を入れているのか、といった視点で見ると、各社の「戦い方」や「得意分野」が明確になり、自分に合う会社を見つけやすくなります。

  • 知っておくとよい基礎知識

    近年、物流業界では「2024年問題」と呼ばれるトラックドライバーの労働時間規制強化や、EC市場の拡大による荷物量の増加が大きな課題となっています。これに対応するため、各社はAIを使った配送ルートの最適化や、倉庫でのロボット導入による自動化、ドローンや自動運転トラックといった新しい輸送手段の導入を急いでいます。また、環境負荷を減らすために、トラックから鉄道や船への輸送手段を切り替える「モーダルシフト」も進んでおり、効率化と持続可能性を両立させるための変革期を迎えています。

業界ナビでもっと詳しく見る物流業界の構造・トレンドを深掘りできます

業界マップ

海運の中でも、川崎汽船は「原料・エネルギー・完成車」を自社で運び、コンテナ船は3社でつくったONEにまとめている会社です。見る軸は、何を運ぶかよりも「どの貨物を自社で持ち、どこを仲間と分けているか」です。

  • 市場規模

    海運は世界貿易の8割超を運ぶ大きな業界です。2024年に世界で海を通じて動いた貨物は121億トンでしたが、2025年の海上貿易の伸びは0.5%、コンテナ貨物も1.4%見通しで、業界は大きいのに自然にはあまり伸びません。だから各社は、ただ船を増やすより、長期契約、運航の効率化、燃料転換、航路の組み替えで稼ぎ方を変えています。川崎汽船を見るときも、どの貨物を市況で取り、どの貨物を長期契約で固めているかを見ると、同業との違いがわかります。

  • 業界内ポジション

    川崎汽船の違いは、会社の中で稼ぎ方を分けていることです。2024年度の連結売上高は1兆479億円で、2025年のセグメント売上高はプロダクトロジスティクス6,164億円、ドライバルク2,927億円、エネルギーリソース輸送1,006億円でした。つまり、1つの貨物に寄り切っていません。一方で、会社が自分で育てたい主力は石炭・鉄鉱石、自動車、LNGで、コンテナ船は2018年に邦船3社で作ったONEに統合されています。つまり川崎汽船は、自社で強く持つ貨物と、3社連合で回す貨物を分ける会社です。

同じ業界の企業

  • 川崎汽船株式会社2024年度の連結売上高は1兆479億円。石炭・鉄鉱石、自動車、LNGを自社の柱に置き、コンテナ船はONEにまとめているので、同業の中でも「貨物ごとに役割を切る」形がはっきりしています。
  • 日本郵船株式会社2024年度の売上高は2兆5,887億円。コンテナ、物流、自動車、ドライバルク、エネルギーを持つ総合型で、川崎汽船より事業の横幅が広い会社です。

成長・キャリアパス

  • 1年目鉄鋼原料の担当で、船の運航契約、国際ルール、法令、船体のつくりを一つずつ覚えるところから始まります。先輩に見てもらいながらOJTで仕事を覚え、社内の海運実務研修で知識を増やしていく時期です。相手は社内の先輩だけでなく、船の運航に関わる人や研修で学ぶ仲間も含まれます。
  • 3年目3年目あたりになると、国内で覚えたことを持って海外拠点に出る人がいます。会社としても、若手を海外在勤員として送り出し、海上職も海と陸を行き来しながら力をつける流れがあります。仕事の相手は、日本の社内だけでなく、海外のお客さまや現地スタッフにも広がっていきます。
  • 10年目10年目ごろには、若手の頃より広い視点で、人を動かしながら仕事を進める役割が増えていきます。会社は最初の10年を、できるだけ多くの経験を積む区切りとしています。8年目以降は、周りを巻き込む力やマネジメントの作り方を意識した研修に移り、海上職なら最終的に船長や機関長、陸上なら船の安全輸送をみる管理者を目指す流れです。

※上記はあくまで一例であり、実際とは異なる場合があります。

先輩の声

  • 「鉄鋼原料部門で3年間の運航管理と1年間の営業を経験した後、経営企画部門に異動しました。前の部署では、船舶の運航に関する契約や国際規範、法令、船体構造まで覚える必要があり、OJTと海運実務研修で少しずつ知識を増やしていきました。今は収支や予算、システムの仕事が中心で、会計やファイナンスも勉強しています。現場で船と荷主を見ていた人が、会社全体の数字を見る側に回るので、細かい実務を積みながら視野を広げたい人に合うと思います。」

    2017年入社

  • 「銀行では法人営業をしていましたが、入社してまず感じたのは海運業界の値動きの大きさでした。地政学リスクや世界経済、為替や金利の変化が業績に直結するので、財務戦略や事業ポートフォリオをどう組むかが大事です。今は財務・会計・税務を担当する立場として、会社のお金の流れを整える仕事に向き合っています。数字で事業を見るのが好きで、変化の大きい環境でも落ち着いて考えたい人に合うと思います。」

    2021年入社

用語ミニ辞典

  • OJT:仕事をしながら先輩に教わって覚えるやり方です。机の上の勉強だけでなく、実際の仕事の中で覚えていきます。

  • 経営企画:会社全体の計画、予算、収支を考える仕事です。現場の売り上げを見るだけでなく、会社としてどこにお金と人を使うかを考えます。

  • 自動車船:完成車を運ぶ船です。川崎汽船では、自動車輸送のパイオニアとしてこの事業を進めています。

職種別の働くイメージ

営業

輸送条件をそろえ、船の仕事を受注していく

この職種の業務シーン

  • 輸送条件のすり合わせ:荷主の担当者と、数量、納期、運ぶコスト、環境への負荷を見比べながら条件を詰める。自社の船だけで足りないときは、チャータリング担当に相談して船の手配につなぐ。

  • LNG船の入札準備:電力会社向けの入札では、客先の要望を受けながら、財務、法務、海上職と連携して、価格見積もり、資金調達の組み立て、サービス内容の提案をそろえる。

1週間の山場

  • 入札案件では、見積もりと提案内容をそろえる打ち合わせが山場になる。

実務の実際

  • 相手が多く、見積もり、資金の組み立て、法務確認を同時に進めるので、確認漏れがあると契約に響く。一方で、条件をそろえて受注できると、長く続く輸送の土台を自分で作れる。

用語ミニ辞典

  • 傭船:他社の船を借りて、運ぶ仕事に使うこと。

  • コンテナターミナル:コンテナを積み下ろししたり、置いておいたりする港の拠点。

  • 荷役:船に貨物を積む、または降ろす作業。

  • LNG船:液化天然ガスを運ぶ船。

2026年10月27日更新

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