***STUFF STORY***
アシステッドナーシング&リビング鶴の苑
鶴の苑のショートステイをご利用されたお客様のお話です。
当時年齢103歳で、義歯はつけておらず、ご自分の歯で常食を召し上がり、
杖をお使いになっているもののご自分で歩行されており、スタッフの間では、
歌のお好きな「スーパーおじいちゃん」として記憶しておりました。
そのお客様が数か月の時を経て、今度は体験入居の運びとなりました。
情報によると、この数か月で心不全が悪化したり、胸椎を骨折したりされ、
入院していたとのこと。
以前、ショートステイをご利用された時より
ADL(移動・排泄・食事・更衣・洗面・入浴などの日常生活動作)が
かなり低下し、自立歩行はできない状態でした。
さすがに、物忘れの方も進んでいるのだろうと思いながら、
久しぶりの再会のため居室に伺うと、私の顔をじっと見て、
「あんた、ここに自分が来た時、初めて会った人だな」
とおっしゃられびっくりしました。
私はお客様の実調と受け入れを担当したので、初コンタクトをした
人間になります。それを覚えていてくださったなんて!
また、食事中、私を呼んでこんなことをおっしゃいました。
「坊や、『袖振り合うもたしょうの縁』の「たしょう」ってどういう漢字か知っているか?」
私が、「多いに少ないと書いて多少でしょ?」と言うと、
「ははっ、それじゃ落第だな。多生って書くんだ。
これはな、今生きている世界で出会うのもそうだけど、前世や来世での縁も頭に入れて、
会った人々と接するって意味なんだ。」
この言葉を聞いて、ハタと気づかされました。
お客様は、最初に私と会った時も、私との縁を大切に感じてくださり、
覚えていてくださったのだと思います。
それなのに、私はお客様との出会いを日々の業務の一部としてしか捉えていなかった。
「袖振り合うも多生の縁」のことわざと共に、ご縁を大切にしなければならないと
実感した瞬間でした。