利用者の方たちの中で、大声を出すことが続いている方や、服破りをすることが続いている方がいる。ミーティングなどでご本人の状況を聞いているが、なかなか要因の分析が難しいなぁと感じる。そんな中でもスタッフのみんなはできることを考えながらやってくれている。
行動の理由が目の前やすぐ前後にあれば対応も考えやすいが、生活全般のどこにあるか分かりにくいときには対応が難しい。これまでなかった行動をされるようになったときには、その理由や対応を考えつくまでに時間がかかることもある。このような時は、ご本人もスタッフもしんどい時期だと思う。
すぐに効果的な対応ができなくても、いろいろな情報を集めて、いろいろなアイデアを出し合いながら、できることからやっていけば、きっと何かのきっかけで変わっていくように思う。だから今は、少し気長な気持ちも持って、お互いにいたわり合いながら関わっていくしかない。そんな時期ではないかと思う。
先週、久しぶりに研修会に呼ばれて愛知県半田市に行ってきた。半田市がある知多圏域の会議で、強度行動障害のある人たちを地域で支えていくための地域体制づくりを話し合いたいので、厚労省の検討会や報酬改定について情報提供をしてほしいというのが今回の依頼。
私の話が役に立ったかは心許ないが、半田市に行っていつも感心するのは、地域のいろいろな立場の人たちが集まって、我が町のことを話し合う風土がしっかり根付いていること。今回も知多圏域のそれぞれの市町の関係者が、講義のあとのグループワークで自分たちの地域についてたくさん意見交換をされていた。
半田市での会議に参加しながら、地域で支えていく体制を作っていくためには、関係者が参画する機会や仕組みが必要だとあらためて思った。対応が難しい行動が表れやすい人たちを支えていくためには、ひとつの事業所が頑張るのではなく、いろいろな機関が関わっていくことが欠かせない。そのためには、地域のなかで、みんなで支えていこうという風土や仕組みを作っていくことが大切になる。
しかし、「みんなで支えるべきだ」と題目を唱えるだけではそんな仕組みはできない。佐賀では、強度行動障害支援者養成研修やフォローアップ研修を通して、経験のある講師・ファシリ陣が協力しながら、対応が難しい行動を表しやすい人たちをいろいろな機関で支えていくことができるための環境作りを進めている。いろいろな事業所でご本人に合った支援をすることができたり、支援者の皆さんが困ったときに相談できる仕組みができることを目指している。
これも、地域の支援体制づくりのひとつ。地域の関係者が、自分たちの地域を良くしていくために協力しながら行動する。そのことが、ご本人たちが安心して生活ができることにつながり、支援者の皆さんが安心して支援ができることにつながっていくと思う。
社会福祉法人はる
理事長 福島龍三郎
「りゅうさぶろぐ」より