これが私の仕事 |
素粒子原子核実験を支えるビームライン装置の設計 私が働くハドロン実験施設では光速の99.95%まで加速された陽子ビームを制御し、実験に利用します。この世界最高レベルの素粒子原子核実験を行うためには、ありとあらゆる技術が必要とされています。多くのエキスパートがこれらの実験の各専門領域を担う中で、私もビームライン装置の設計で実験に貢献しようと努力しています。特に近年では、世界初の新発見を目指して、世界中の加速器施設がビームの強さをお互いに競い合っている情勢にあります。しかし、ビームを強くすればするほど、それに伴う放射線も強くなり、観測装置やビームライン装置が動作しなくなるというジレンマが起きています。そこで、最近の私の仕事として、強い放射線環境下でも動作できる測定機器や電磁石の開発を積極的に行うことで、このジレンマの解消を目指しています。 |
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だからこの仕事が好き! 一番うれしかったことにまつわるエピソード |
今まで学んだこと、これから学ぶこと全てが無駄にならない仕事 KEKは、素粒子物理学研究の世界的な拠点の1つです。その世界最先端の物理実験に関わりながら仕事が出来ることは技術職としては、幸せなことだと感じます。一般的には、専門を活かした仕事に就けることは稀だと言われていますが、KEKでの仕事は、その規模と難易度故に、網羅している技術分野が広く、自分が今まで学んだ知識を活かせる機会も多くあるように感じます。つまり、自分が初めて関わる分野も多くなり、新たに学ぶことも多くあります。実際に私も装置の敷設や機械加工などの現場の知識は疎く、周りの専門家からたくさんのことを学びました。その中で、ニュートリノ長基線実験用の電磁石設計を任せてもらえる機会がありました。学生時代に関わっていたニュートリノ実験に技術の面から貢献できたことは、大きな達成感がありました。 |
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ズバリ!私がこの会社を選んだ理由 ここが好き |
やる気次第でなんでも出来る 企業の職場では、1つのプロジェクトを細かく細分化して仕事を担当することが一般的ですが、KEKでは違います。やる気次第でプロジェクトのどの分野にも関わることができ、実験の全体像を全員が意識して仕事をしているように感じます。私の職場では、研究者・技術者という枠にとらわれず、多くの人が科研費を自分で獲得したり、論文を投稿したりアクティブに活躍しています。各研究者・技術者が、自分こそが実験を引っ張っていくんだ、という野心を持って仕事をしている姿に常に刺激をもらって仕事をしています。また、仕事上の形式的なルールも大企業に比べて圧倒的に少なく、合理的です。このような環境は、これからも技術を学び、技術の仕事をしたいと思う人には最高の環境だと思われます。 |
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これまでのキャリア |
学生時代は「ニュートリノ観測実験」に参加し、光電子増倍管などの「光検出器の開発」に携わった。卒業後は電機メーカーに就職したが、もう一度、素粒子実験に関わりたいという思いからKEKに転職し現在にいたる。 |