営業の領域では、集客や販促のツールの一つに「紹介」や「リピート」という考え方があります。
私も今では新規で賜るご依頼のほぼすべてがこのご紹介による案件となっていて、社内でも直接部門の営業メンバーからどうすればそのようになるのかとよく尋ねられます。
現在はネットでの集客が主流ですが、営業店舗ではご紹介のお客様を集客するために、アナログな活動としてショップカードやキャンペーンのフライヤーを手に地域のお店をめぐり、お客さんがあればぜひご紹介してくださいと営業に歩いてくれています。
これは以前からある定番のアクションなのですが、実は私はこれまでそういう販促活動をしたことがありません。
人が「あげたい」と思う時というのは、何かに対して御礼やお返しをしたいと思った時、そう考えるのが自然です。
先ほど例にあげたのは、「ください、ください」といって求めて歩く行動ですから、中々そういう人にあげようという気にはなれません。
私がこれまでにご紹介で仕事のご依頼をいただいたケースを思い返してみても、友達、仕事でつながった信頼し合える仲間、自分が接客に携わったお客様、自分が食べにいった(呑みにいった)お店、何かのご相談にお応えした人、あのお店はとてもいいからぜひ行ってみてくださいとご紹介したお店、以前お世話になった先輩やかわいがっている後輩たちと、よく知った人たちばかりです。
営業パーソンだった頃はそこまで深く考えていたわけではありませんが、今思うと、人に一生懸命接した先にある繋がりがあるところ、「テイク」は「ギブ」の先にこそあるものだと私は思っています。
ほしいほしい、くださいください、と言ってくる人よりも、いつもありがとねって思える人にこそあげたくなるのは自然な心理です。
その真理に気が付けば、確実に行動は変わります。
振り返ると、(その時は)何のリターンもないように思えることにもたくさん応じてきましたし、お金もそれなりに使ってきましたが、長いスパンで考えると、下心のない「ギブ」の先には必ず一対一の「テイク」がありました。
だから、本当に販促として「紹介」のお客様を得たいのであれば、ギバーに徹することが大事だと思います。
それは誰にでも容易にできることではありませんから、できる人は他者にはない圧倒的な強みを得ることになります。
ただ、それが容易ではないことの一番大きな障壁は、それが見せかけの「ギブ」、言い換えると「テイク」を目的をする「ギブ」ではダメだということです。
これは頭でどれだけわかったつもりでも、心(思い)に腑落ちしているかということが図られますので、この真のギブは誰でもできるものではない究極のスキルとなり得るのです。
当社ではフィロソフィを学んでいます。
商品やサービスにフィロソフィを添えようと、みんなで声を掛け合ってお客様と接しています。
手前みそな話ですが、社内のそこここで社員たちの仕事にフィロソフィを感じることが増えています。