先日開催したはるの全体研修のことでもう一つ。
とても良かったこと。
全体研修では、午前中に法人の方針説明や感染症対策と権利擁護虐待防止の研修など、どちらかと言うと堅い話が中心だったが、午後からはSANCの創作体験ワークショップにみんなで取り組んだ。
SANC(Saga ArtBrut Network Center)は佐賀県内の障害のある人や家族、支援者向けに芸術文化の普及活動を行っている。
その活動のなかでニーズが高いプログラムの一つが創作体験ワークショップ。
アート活動に取り組んでみたいけど、きっかけがない、どうやっていいか分からない、という人や事業所を対象として県内各地で開催している。
アート活動というと、自分には無理…、苦手だから…、という人たちも多いが、この創作体験ワークショップは取り組んでいると自然に手が動いたり、周囲の人たちと会話が弾んでくる。
ワークショップが誰でも取り組みやすい内容になっていることや、ワークショップの内容を考えて進行もしていただいている講師の大江登美子先生の自然なナビゲートとさりげない声かけによって、きっと参加者の皆さんが安心して取り組むことができるのではないかと思う。
全体研修では、このワークショップをはるのスタッフのみんなにも体験してもらった。
スタッフのみんなに取り組んでもらった理由は二つ。
一つは、県内でいろいろな人たちから喜ばれていて信頼も厚いSANCのことをもっとスタッフのみんなに知ってもらうこと。
もう一つは、これからはるで利用者の皆さんがアート活動に触れる機会を広げていく上で、スタッフのみんなに実際に体験してもらってアート活動の楽しさや表現することの気持ちよさを体感してもらうこと。
全体研修でも大江先生に講師をやっていただき、SANCの活動を手伝ってくれている佐賀大学の地域デザイン学部卒のお二人にもスタッフの体験をサポートしてもらいながらワークショップを進めてもらった。
案の定、はじめは控えめなスタッフが多かったが、ワークショップが進むにつれて「ハマって」いくスタッフの姿があちこちに。
楽し気な話し声も聞こえてくる。
私もスタッフのみんなと一緒に参加したが、やっぱり楽しかった。
色を自由に塗るプログラムでは、ついつい自分が好きな青ばかり選んで塗ってしまうが、スタッフの作品を見ると本当に個性それぞれ。
可愛いイラストのような絵を描いていくスタッフ、細かく線のようなタッチで描いていくスタッフ、本人にぴったりの花を描いているスタッフ、大胆に手形を付けるスタッフ、好きな色で全体を埋めていくスタッフ…
どれもみんなの個性が出ていて良かった。
自分の隣で描いていたスタッフが、パレット代わりにしていた紙皿に色を塗り始めたので、それはいいなぁと思って自分も紙皿に色を付けてみた。
やっぱり青っぽい感じになってしまい、それではつまらない感じがして、紙皿だからいいやと(自分としては思い切って)赤色を重ねてみた。
すると、まったく違うものがそこにできあがった。
これもまたいい。
自分は恐るおそる違う色を塗ってみたが、そんな小さな枠を簡単に当たり前に超えて色を塗ったり、行動できる人たちはすごいなぁとあたらめて思う。
SANCのスタッフが、他にもいろんな形の台紙を準備してくれていたが、スタッフのみんなが思い思いに塗ったその台紙を合わせると一つの樹になっていた。
その樹がまたすごくステキだった。
アート活動と言うと少しきれいすぎるように思うが、表現することは本来は自然で心地よいものだと思う。
そういう機会がはるの利用者の皆さんやスタッフのみんなにも広がっていけばと思う。