今回は職員と利用者さんの心の交流についてのお話です。
天上会就労B事業所「カイロス」の結工房に所属されている自閉症の利用者のDさん。家では家族の方とお話するようですが、カイロスでは他利用者の方とほとんど会話はありません。私たち職員が質問しても殆ど応えることもなく、会話らしい会話をしたことはあまりありませんでした。連絡帳を渡すのも手渡しは嫌がられ、机に置いて渡す。廊下ですれ違う際は避けるかのように早足で去っていく。こちらからコミュニケーションを取りたいと思っても、Dさんに嫌がられているのかな、それとも障害特性からくるものなのかな?となかなか方法が見つかりませんでした。そんな彼に、私の上司が毎朝「おはよう」と返していましたが、そんなやりとりが続いていたある日、今度は彼から挨拶をするようになりました。そしてそれが今では日課に。私たちもそんな上司の背中を見て、積極的に声を掛けるように心がけてみました。以前は朝の挨拶も返してくれなかったDさんですが、今では自ら挨拶をして下さるようになり、朝の連絡帳も彼の方から受け取ってもらうよう手渡すこともあります。毎朝、Dさんから「おはようございます!」と言い連絡帳を貰う瞬間がとても楽しみです。時にはこちらが先走って「おはよう!Dさん!」と言ってしまう事もありますが、目を見て挨拶をして下さいます。まだ、今は挨拶程度しかできませんが、この一年間で明らかに以前とは違い、少しずつ距離は縮まっているように感じています。
今後もゆっくりと時間を掛けながら彼とのコミュニケーションの場を増やし、信頼関係を築いていきたいと思います。