ある中学受験専門塾の塾長が、学習・生活時間を調査したところ、小6の家庭学習は週平均15時間。学校に通う時間を加えると、明らかに労働基準法の週40時間規定は超過している。小5はというと、家庭学習が週5時間以内という生徒が少なくない。まだ進級したばかりなので「これからの指導次第」というのが正直な感想だ。
それ以上に驚いたのがテレビの視聴時間だ。こちらは「週5時間程度」と「週15時間以上」に回答が集中。「ふたこぶラクダ」型のグラフになった。かといって、必ずしもテレビ視聴時間の長い生徒の成績が悪いとはいえない。特にアニメやお笑い番組ではなく、ドキュメンタリー番組やドラマが好きな子どもは、好奇心旺盛で語彙も豊富。授業を盛り上げてくれるムードメーカーであることが少なくない。
だが、あえて言おう。「テレビ漬けのままでは、ここから先は成績が伸びないよ」テレビと読書の決定的な違いは、情報に対して「受動的か能動的か」だと思う。テレビはボーっと観てもなんとなく理解できるし、最後まで観てしまう。本は意思の力がなければ、最後まで読み通すことはできない。内容の良し悪しにかかわらず、意思の力が介在するかどうかが、知性を高められるかどうかの分水嶺だと思う。
睡眠学習や聞き流し型の英会話教材などには懐疑的である。学習とは、習慣化や効率化ではなく、最後は「意思力を強める」ことにあると信じている。
[「ムッシュトリイのよもやま話」より抜粋]