※画像 シリーズ2回目。今回は独自の切り口になっていった支援方法へのの転換が語られています。
かつての研究対象は人工知能だった。海外での数年間の研究経験もあり。
大学時代、ラグビー強豪校でもないのにラグビー関東大学リーグ選抜。曰く「ボク、上手だったから」と。
つまり、その身体。大学時代よりも筋肉量は多くなっているというから驚き。パンプアップに余念なし。
家のベランダにあるベンチプレス、私が来訪した際に挑戦したら、びくともせず。
腰を痛めるとかそういうレベルじゃなく、脱腸しそうになりました(失礼
Q.施設長として苦労したことや失敗したことは?
A.子どもたちのグループ活動支援を始めて10年経ちますが、
開始当初は発達障がい児支援の王道としての
『SST』(Social Skills Training/社会生活技能訓練)にとらわれ、
「こういう時にはこうしましょう」的な、
ハウツー則をロールプレイング形式で取り組んだこともありました。
しかし、実際に子どもたちと活動しながら、こどもたち本人やご家族とも話をしていく中で、
「さまざまな場面での望ましいふるまいは知っているけれど、
自分が直面している状況がどのようなものであるかが
リアルタイムではわからない、気づけない」、
「最初に思いついたことから抜け出せず、その時々の強い感情に振り回されて
切りかえがきかない」といったことが問題の核心にあることがわかってきました。
子どもたち自身は、聞かれれば当たり前のようにどうすべきかわかるのに
“その場では気づけない”ことに傷つき、まわりの人たちは、
子どもたちが“わかっているはずのことをやらない”ことに、
安易に自分たちの経験や感覚をあてはめて、
「なまけている」、「ふざけている」、「いやがらせをしている」などと
一方的に解釈して非難、叱責するといった負の連鎖に陥りやすいことも見えてきました。
そんな中、支援の一部としてのロールプレイが、
「練習したはずなのにできない」と位置付けられ、
あるお子さんの傷つきとまわりの人たちの誤解をさらに助長するようなことがありました。
その時の申し訳なさと後悔から、トップダウン的ないわゆる『SST』から脱却した、
ボトムアップ的に発達のバランスを整え得る刺激を、
情報の質量を少しずつ高めながら繰り返し提供するグループ活動と、
子どもたちの発達段階や状態像に応じた合理的配慮の提案とを併せて行う
現在の支援スタイルを組み上げてきました。
先行事例がほとんどなく、支援を実践するうえで
必要な知識や情報が体系化されてもいない中、
手探りで課題や教材をつくり出し続けながら運営してきました。
世間一般的に言うところの「苦労」や「失敗」は数えたらキリがないので、
すべて「試行錯誤」と呼ぶようにしています。
(原文ママ)