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介護・福祉

(1)介護・福祉業界の概況

高齢者や障がい者など日常生活に何らかの支援を必要としている人に対して、さまざまな形でサービスを提供するのが「介護・福祉」業界だ。広義には児童保育も含まれる。

内閣府の「平成28年版 高齢社会白書」によると、2000年時点における日本の65歳以上の人口は2201万人、総人口に占める割合は17.4パーセントだったが、2015年には3392万人に増え26.7%になった。さらに2025年には3658万人になると推計され、高齢化率は3割を超える(推計数字は国立社会保障・人口問題研究所より)ことから、介護・福祉市場の需要は大きく、当分拡大を続けていく業界だと見られる。

急速な高齢化を背景に、介護・福祉業界ではすでに慢性的な人手不足が起きている。厚生労働省は、2025年における介護業界の人材需要が253.0万人に達する一方、人材供給は215.2万人にとどまると予測。37.7万人もの人手不足が発生する見込みで、2016年3月時点でも介護人材の有効求人倍率は2.5倍以上となっている。

政府は「介護離職ゼロ」を目指して介護職員の待遇改善を進めている。業界も人材の需給ギャップを埋めるため、従業員の賃金引き上げや昇給制度、キャリアアップ支援など待遇改善を進めて定着率を高めようとする動きが盛んだ。また、外国人技能実習制度(後述)を活用して介護従事者を確保しようとしたり、ロボットを介護現場に導入したりして、従業員の負担を軽くする取り組みにも注目が集まっている。

医療との連携を目指す動きにも注目だ。介護保険法に基づく介護サービスには、全25種類あるが、2012年に創設された「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」のように、訪問介護員だけでなく看護師なども連携しているものもあり、医療機関と協力関係を深める介護事業者が増えている。また、今後も需要増が見込まれているため、大手企業を中心に取り組み強化を図る事業者が増えている。

(2)介護・福祉業界の仕組み

介護サービスは、介護を受ける人が自宅に住みながら利用できる「居宅サービス」と、介護老人福祉施設などに入所している人が利用する「施設サービス」とに分けられる。

居宅サービスには、ホームヘルパーなどが介護を必要としている人の自宅を訪れ、食事や入浴などの支援をする「訪問介護」、介護を必要としている人が施設に通い、食事や入浴などのサービスを受ける「通所介護」(デイサービスと呼ばれることもある)などが含まれる。一方、施設サービスには、「介護老人福祉施設」(特別養護老人ホーム)、「介護老人保健施設」(老健)、「介護療養型医療施設」という3施設がある。

日本には、高齢者を支えるための制度「介護保険」が設けられている。この仕組みによって、介護・支援が必要だと認定された人は少ない自己負担で介護サービスが受けられる。一方、家事や買い物の支援、配食、高齢者の安否確認や見守りといったサービスは介護保険の対象外だ。こうした「保険外サービス」の料金は、事業者ごとに独自に設定できて経営的にメリットが大きいため、この領域に力を入れる企業は今後も増えそうだ。

また、元気なうちにケアやサービスの整った住まいに移って、安心して暮らしたいシニア層を対象にした有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅の運営にも注目が集まり、異業種からの参入も盛んだ。

(3)介護・福祉業界のHot Topics

「団塊の世代」が70歳前後になり、高齢化のスピードが加速している。業界の人手不足の解消、労働環境の改善など、解決しなければならない問題は多い。

団塊の世代が後期高齢者に

団塊の世代とは、第2次世界大戦終了後の1947~49年にかけて生まれた世代を指す。この時期、日本では毎年の出生数が260万人を超えており、空前のベビーブームだった。2022年以降、この世代が後期高齢者(75歳以上)となり、介護市場の急拡大が予測されている。

異業種からの参入が増加

今後市場の拡大が見込まれる介護業界は、医療と異なり異業種からの参入も比較的しやすい。2015年以降は損害保険会社や生命保険会社、大手スーパーマーケット、スポーツ用品メーカー、アパレルメーカーなど、多彩な企業が参入。高齢者向けの商品を手がけている企業が、介護事業者と提携して介護・福祉事業に乗り出すケースも目立つ。

ロボットの活用

重いものを軽々と持ち上げられるなど、身体に装着することで人の動きを支援する装置「ロボットスーツ」(パワードスーツ、パワーアシストスーツなどとも呼ばれる)を、介護を必要としている人の抱き上げなどに使う研究が進められている。

外国人技能実習制度

発展途上国から外国人実習生を受け入れて技術・知識を学んでもらい、帰国後、自国の発展に役立ててもらうための仕組み。これによって、介護現場での人手不足を緩和できるのではと期待されている。

人材定着率を目指した働き方改革

介護・福祉系企業は、従業員の残業時間の低減や短時間労働など、柔軟な労働スタイルを用意することで、より働きやすい環境を提供しようと努力している。また、パラレルキャリア(本業以外でも仕事をしたり、ボランティア活動に参加したりすること)を支援する企業もある。

(4)関連業界とのつながり

病院・診療所

介護サービス企業が医療機関と協力しながら高齢者のケアを担うケースは、今後さらに増えそう。また、医療機関が直接、介護サービスを提供するところもある。

警備会社

独り暮らしの高齢者が、病気などで倒れていないか確認する「高齢者向け見守りサービス」のニーズが増加。介護サービス企業が警備会社などと提携して見守りサービスを提供する例も増している。

不動産

高齢者向け住宅の建設を手がけるマンションディベロッパーも少なくない。子育て世帯との交流など、新しいコンセプトを打ち出しているところもある。

監修:日本総合研究所 吉田賢哉

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