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(1)鉄鋼業界の概況

鉄鋼業界は、鉄を加工して作った鋼板などを、輸送機器(自動車など)、建築、家電などの業界に提供していて、その需要は根強い。鉄鋼メーカーは、原料の鉄鉱石から粗鋼まで一貫生産する高炉メーカーと、くず鉄などを溶かして鉄鋼を生産する電炉メーカーとに大別される。また、電炉メーカーの中で高度な鉄合金を生産する企業を特殊鋼メーカーとも呼ぶ。

経済産業省の「鉄鋼・非鉄金属・金属製品 統計年報」によれば、2008年に1億1874万トンあった国内粗鋼生産量は、リーマン・ショック後の2009年に8753万トンまで激減した。その後、「アベノミクス」効果や、東京オリンピック・パラリンピック開催で建設関連の投資が活発化したことをうけて業績は一時回復したが、2015年には1億513万トンと、再びマイナスに転じた。

その背景にあるのは、世界的な生産過剰だ。近年、中国などのメーカーが生産能力を増強。中国メーカーの生産量は、世界の粗鋼生産量(約16億トン)の半分程度を占めるほどになった。ところが、中国経済の成長率が鈍り国内需要が低迷したため、中国メーカーは安い価格で鋼材を輸出。日本の鉄鋼メーカーはそのあおりを食っている面もある。

こうした中、日本の鉄鋼メーカーはコスト削減を進めて競争力を高めようとしている。最も目立つのが、経営統合によって事業規模を拡大しようとする動きだ。鉄鋼の生産設備には莫大な投資が必要となるため、企業は投資に耐えられるだけの経営体力を備えることが必要となる。また、この業界では生産規模が大きくなるほどコストが削減される「規模の経済性」が働きやすい。2012年から2016年にかけていくつかの企業が経営統合を行ったが、今後もこのような動きには注目したい。

もっとも、いくら経営統合しても、コスト面だけで海外メーカーと競争するのは厳しい。そこで、技術力の高さを生かし、付加価値の高い製品を生み出して利益を確保しようとする取り組みも活発だ。例えば、自動車業界では燃費性能を高めるため、軽くて強い「高張力鋼板(ハイテンとも呼ばれる)」のニーズが高まっている。鉄鋼業界としては、技術開発や供給体制を充実させ、高付加価値製品でグローバルな競争をリードしていくことが、各社の経営のカギを握るだろう。

(2)鉄鋼業界の仕組み

高炉メーカーの場合、原料となるのは鉄鉱石とコークス(石炭を蒸し焼きして炭素の部分だけを残したもの)だ。まずは高炉を使って、鉄鉱石とコークスから炭素分の多い「銑鉄」(せんてつ)を生み出す(=製銑)。続いて、溶けた銑鉄から炭素などの不純物を取り除いて「鋼鉄」を作る(=製鋼)。そして、ドロドロに溶けていた鋼鉄を一定のかたちに冷やし固めること(=鋳造)で出荷できる状態となる。
電炉メーカーは、原料の鉄スクラップを電気の熱で溶かして鉄を作る。その後、粉コークス、石灰などを加えることで、酸素や硫黄などの不純物を取り除く。そのうち特殊鋼メーカーは、電炉を使って鉄スクラップを溶かす点では電炉メーカーと共通だが、レアメタルなどの副原料を使って特殊な機能を持つ高級鋼を作るのが特徴だ。

なお、高炉の運転を止めると内部で溶けていた銑鉄が固まってしまい、再び稼働させるときに大きな手間がかかる。コスト削減のためにやむなく高炉休止を選択する企業もあるが、一度運転を始めた高炉は、少なくとも10年以上、365日24時間連続操業することが基本となる。そのため鉄鋼メーカーは、長期的な視点で事業をとらえており、高炉を建設した地域との間に非常に強い結びつきを持つ。拠点を置いた地域・国を支えようと取り組む企業も多い。

(3)鉄鋼業界のHot Topics

国内外の鉄鋼メーカー同士が合併・業務提携を行い、生産効率を高める動きが活発。関連のニュースにはぜひ注目しておきたい。

グローバルな業務提携

国内メーカーが海外メーカーと合弁会社を設立し、海外に大規模な生産拠点を作るなど、海外メーカーと協力しながら世界規模で高付加価値品を製造・供給する試みが活発化している。

地球温暖化防止への取り組み

現在、地球温暖化を防ぐために温暖化ガスの削減の取り組みや省エネ化が世界中で進められているが、鉄鋼の生産には大量のエネルギーが必要となり、業界全体で二酸化炭素の排出は不可避である。そこで各鉄鋼メーカーにとって、二酸化炭素の排出量削減は重要な課題のひとつとなっている。

(4)関連業界とのつながり

自動車

車体部分に使われる鉄鋼を提供。近年は、自動車の燃費を向上させるために、薄くて軽いのに十分な強度を保つ、高付加価値鋼材が求められている。

建設

ビルや橋などの大規模建築物には、大量の鉄鋼が使われている。オリンピック・パラリンピックの開催を控えた東京では、さまざまな施設が建設され、鉄鋼の需要も高い。

海運

鉄の原料となる鉄鉱石、コークスを輸入したり、大量の鉄鋼を国内外に運搬したりするためには、大型の輸送用船舶が欠かせない。

監修:日本総合研究所 吉田賢哉

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