(1)商社ってどんな業界?

総合商社は、幅広い産業分野で、原料や加工品、サービスなどあらゆる商材を扱って、売りたい相手と買いたい相手を結び付け、取引の仲介をする。また、事業や商材を売り出すために、販売チャネルの開拓や新たな物流ネットワークづくりを行い、金融・保険機能を果たし、国際的なプロジェクトも手がける。例えば電力や交通などのインフラ事業やそれに関連する取引を手がけるのも総合商社の仕事だ。
総合商社のほかには、医療・医薬、鉄鋼、食品など特定の分野に絞って取引を手がける「専門商社」がある。

(2)商社の仕組み

総合商社の特徴は、情報収集力によるマーケット分析やリスクマネジメント、豊富な資金力によるビジネスサポート、グローバルな物流網や販路の構築などにある。こうした強みを生かして、総合商社の収益の柱となっているのが「トレーディング」と「事業投資」だ。

トレーディングは、原料や商品、サービスなどの商材を扱って手数料を得る商社の伝統的なビジネス。小麦の買い付けから航空機の売買やリース・ファイナンスまで、あらゆるジャンルを扱う。

もう1つの柱として伸びているのが事業投資だ。豊富な情報と資金力、経営ノウハウなどを投入して有望な事業に投資し、配当などの形で利益を得る。例えば、石油やガス探鉱開発事業もその一つだ。海外でのコンビニエンスストア事業など、生活産業分野での事業投資に力を入れているところもある。最近では、再生可能エネルギーの事業においても、総合商社の存在感は増している。

事業投資では、各企業が長い年月をかけて築き上げてきたノウハウや情報網、取引先ネットワーク等を活用して、事業のバリューチェーン(原料の生産・調達から製造、流通、販売までの一連の流れ)を強化することで、より大きな利益を上げようとする取り組みが活発化している。食品事業を例にとると、「1. 原料となる農産物を生産」、「2. 製粉・搾油などの一次加工」、「3. 加工食品や飲料を製造する二次加工」、「4. 商品の物流」、「5. 小売店や外食店での販売」といった流れが存在している。総合商社は、各ステップにおいて、実力や実績のある取引先に協力を要請したり、過去の類似事業の経験を活用して効率的に課題解決やコスト削減に取り組んだり出来るので、バリューチェーン全体の強化を効果的に進めることが可能だ。

専門商社は、その名の通り、扱う商材や分野が専門ジャンルに特化している。主に3つのタイプがあり、大手メーカーと関係の深い企業、総合商社と関係の深い企業、そして特定の企業と深い関係はないが、特定の商材に強い企業がある。

専門商社の多くは、トレーディング事業が中心で、その商取引は国内市場に依存する比率が高い。しかし近年はメーカーが自社で原料や製品の調達・売買を手がけるなど、商社を経由せずに直接取引が行われるケースもある。そこで、収益の柱をトレーディング以外の分野で模索している企業もある。例えば、医薬品を扱う専門商社が調剤薬局の運営に乗り出したり、燃料を扱う専門商社が家庭向けの電力小売事業に参入したりするなど、より消費者に近い分野に進出する動きが目立ってきている。反対に、メーカーや海外企業と提携するなどして生産工場を保有し、モノづくりに乗り出す動きもある。

総合商社は知名度が高く、学生からの人気も高い。一方、専門商社の中には、その分野で圧倒的な存在感を発揮しているなど、隠れた優良企業もある。

(3)商社の動き

事業ポートフォリオの組み替え

総合商社は、さまざまな産業の中で時流をとらえ、事業のライフサイクルを見据えて「事業ポートフォリオ」(自社が手がけている事業の一覧)を見直し、有望な分野に軸足を移しながら成長してきた。ここ数年では、これまで大きな収益を上げていた資源ビジネスが世界的に沈静化してきたことを受け、食品や医薬品ビジネスに力を入れるなど変化に柔軟に対応し、事業ポートフォリオを組み替えようとする動きもある。

専門商社の海外進出

国内市場は人口減少によって今後大きな成長は望みにくい。そこで、これまで主に国内で収益を上げていた専門商社の中にも、海外進出によって売り上げ拡大を目指すところが増えている。例えば、医薬品の専門商社が外国で病院の経営管理を支援するなどがある。

(4)どんな職種がある?

営業

他業種の営業職のように自社の製品・サービスを売ることに加えて、企画力や事業を作る力などが求められる。持ち前の情報網を生かして複数の企業の事業と事業をつなぎ、ネットワークを構築するところから関わることもある。

営業事務・貿易事務

営業担当者を助け、電話応対や書類整理などを担当する。商社の場合、外国語での対応が求められるケースも多い。ほかに、原料や製品を輸出入する際、税関を通す業務(通関)に必要な手続きを担当する貿易事務もある。

事業企画

どのような事業を立ち上げ、どの企業に投資をしていくか企画・立案し、事業計画を立てる。ときには取引先企業の経営方針立案などにも携わるなどして、企業の経営を支援することもある。

監修:日本総合研究所 吉田賢哉

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