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(1)自動車業界の概況

日本の自動車メーカーの存在感は、グローバル市場においても非常に大きい。世界の自動車販売ランキングの上位には、複数の日本企業が入っている。

国内の自動車市場は、人口減少などの影響で頭打ちになると予測されている。一方、グローバル規模で見れば、市場は好調だ。日本自動車工業会によると、2015年における四輪車の世界生産台数は9080万台で、2010年(7761万台)に比べ17パーセント伸びた。けん引役となっているのが中国で、2015年の四輪車生産台数は2450万台に上っている。ただし、中国経済は減速の危険性も指摘されており、仮に中国市場の伸びが鈍化すれば各社の業績にも影響が出るかもしれない。中国など新興国市場の動向には注意が必要だ。

自動車業界でここ最近注目されているのが、人が運転しなくても車が自動で走る「自動運転」だ。その実現に向け、自分でハンドルを切らなくても適切な場所に車を停められる「駐車支援システム」、走行車線の中央を走り続けるように支援する「レーンキープアシスト」、一定のスピードで走ったり、前の車と一定距離を保ちながら走ったりできる「アダプティブ・クルーズ・コントロール」などのように、運転手の負担を軽くする機能が実用化され、すでに多くの自動車に装備されている。ほかにも、他の車や人とぶつかりそうになると、自動的に減速・停止しようとする「衝突被害軽減ブレーキ」、運転者が居眠りをした際などに警告を発する「ふらつき警報」など、安全性を高める仕組みも普及が進んでいる。

こうした機能を実現するには、「カメラやセンサー、GPSを使って車の位置や周りの状況を確認する」「さまざまなデータを、コンピュータを使って適切に分析・判断する」などの技術が不可欠だ。自動車業界においても、ITはますます必要度が増すだろう。

二酸化炭素の排出量削減を実現するため、省エネを実現する「エコカー」の普及も進んでいくと見られる。中でも注目されるのが、電気自動車や燃料電池車などの「次世代自動車」だ。

自動運転車や次世代自動車が普及すると、自動車業界の構造が大きく変わる可能性がある。これまでの日本メーカーは、エンジン性能や品質保持技術の高さを生かしてグローバル市場での存在感を発揮してきたが、今後は「自動運転技術」や「電気制御技術」などの領域が注目されるだろう。

なお、安全システムや次世代自動車の開発には、巨大な投資が必要だ。また、できるだけ短期間で開発しなければ他社に後れを取ってしまう。そこで自動車メーカー各社は、他業界の企業と技術提携を行うことで、開発費の負担軽減と開発のスピードアップを図っている。

(2)自動車業界の仕組み

自動車業界の仕組み

1台の自動車には、小さなネジなどまで含めると約2~3万点の部品が使われていると言われる。こうした部品類を手がけるのが、大小の自動車部品メーカーだ。

多くの部品が使われているだけあって、関連する企業の数も多い。売上額が数兆円規模に達し、幅広い部品を生産する大手部品メーカーもあれば、高い技術力を生かして専門分野で優れた製品を生産し、世界中に供給している部品メーカーもある。こうした部品メーカーやタイヤを作るメーカーなども、広い意味で「自動車メーカー」と呼ばれる。日本の部品メーカーの中には世界有数の高度な独自技術を持つところも多い。

なお、以前の自動車業界では、各部品メーカーが特定の自動車メーカーだけに部品を納める取引関係が主流であったが、近年ではこの取引関係が崩れ、複数の自動車メーカーに部品を納める企業が増えている。

また、車体を作るための鋼板は鉄鋼メーカーが製造するし、カーナビや自動ブレーキ装置などを手がける電子機器メーカー、ゴムやプラスティックを提供する化学メーカーなど、多彩な企業が協力し合って自動車は作られている。そのため自動車産業は、日本をはじめとする各国にとって「基幹産業」(国家を支えるような重要産業のこと)と言える。

(3)自動車業界のHot Topics

新たな技術を開発して省エネ性能を高めたり、安全性を高めたりする取り組みが活発になっている。

ハイブリッド自動車

2つ以上の動力源を持つ自動車のこと。一般的には、ガソリンエンジンと電気モーターを併用して動く自動車を指すことが多い。

電気自動車

充電池にためた電気を使って動く自動車のこと。現在販売されている車種は、ガソリンエンジン型の自動車に比べて航続距離が短いのが弱点。また、充電器が設置された「充電スタンド」の設置もこれから検討が必要だ。

自動運転への取り組み

現在は、人による運転を機械が支援する段階にとどまっているが、近い将来、完全自動運転が実現されると期待されている。実現すれば、交通事故の減少や、長距離トラック等でドライバーが不足している問題の解消に役立つのではないかと期待されている。今後は、事故が起きた際の責任を誰が取るか、運転免許制度をどうするかなど、法律面での整備が必要となる。

コネクテッドカー

通信システムを搭載し、ネットワークに接続された自動車のこと。ネットワークを介して運転情報を蓄積し、自動運転車の安全性向上に役立てる。あるいは、運転中の急ブレーキ・急加速などの頻度を分析し、安全運転をしているドライバーの保険料を安くするなどの応用が考えられている。

(4)関連業界とのつながり

電子部品メーカー

電気自動車などの次世代自動車には、従来型の自動車に比べてずっと多くの電子部品が搭載される。また、運転支援システムを制御するには高性能な電子部品が欠かせない。

IT系企業

次世代自動車を制御する電装品や自動運転システムには、多くのプログラムが使われている。これらをIT系企業と協力して開発するケースは、今後ますます増えていきそうだ。

家電メーカー

電気自動車などに搭載される燃料電池や蓄電池を家電メーカーが製造しているケースは少なくない。また、カーナビやカーオーディオなどの分野で協力することもある。

損害保険会社

自動車保険の保険料は、損害保険各社にとって収益の大きな柱の一つ。自動運転車が増えて事故が減れば、保険料が安くなって自動車保険市場が小さくなる可能性も考えられる。一方、自動運転中の事故を対象にした新保険へのニーズが生まれる可能性もあり、自動運転の普及をビジネスチャンスととらえる損害保険会社も少なくない。

監修:日本総合研究所 吉田賢哉

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