食品業界

食品業界

(1)食品業界の概況

食品業界の企業は、加工食品(菓子、乾燥めん、レトルト・冷凍食品、大豆製品、乳製品など)、清涼飲料水やアルコール類、また調味料や小麦粉などの食品原料などを製造し、小売店などを通じて消費者に販売している。

農林水産省の「平成27年度 食品産業動態調査」によれば、2014年 の「食品製造業 製造品出荷額等」は30兆1617億円。前年(29兆2015億円)より3.3パーセント増え、3年連続の成長となった。また、総務省の「家計調査」を見ても食料支出は4年連続で増えており、食品業界はおおむね堅調と言える。ただし、国内は人口減少により、長期的には市場は縮小傾向となる見通しだ。

そこで、海外進出によって売り上げ拡大を目指す動きが増えている。特にターゲットとなっているのが、経済成長が著しいASEAN市場だ。これらの地域は味の好みが日本人に似ていて、日本製品が比較的受け入れられやすいとされる。既にインスタントラーメンや醤油、パン、乳酸菌飲料などを手がける企業が、これらの国に進出して市場を獲得している。今後も、海外の生産拠点や販売網を拡大する動きは盛んになると見られる。また、外国企業の買収を通じて、素早く現地展開をしようとする日本企業もある。日本の食品メーカーは、高い食品加工技術を持っている。加えて機能性食品を開発する力や、食の安全を守るための技術も高く、世界市場にも十分通用するはずと期待が寄せられる。

一方の国内市場では、上記のように市場の長期的な縮小傾向が見られるため、多様化する消費者ニーズをつかんで、新たな需要を掘り起こす取り組みが盛んだ。2015年4月から開始された機能性表示食品(「おなかの調子を整える」「脂肪の吸収をおだやかにする」など、保健に関する特定の目的が期待できる場合、その機能性を表示できる食品)制度を活用した新製品も続々と開発され、健康・美容に関心の高い消費者にアピールしている。また、高齢者の単身世帯や共働き世帯の増加に対応し、使い勝手の良い容器を使用した商品や、調理しやすい商品も人気を集めている。

(2)食品業界の仕組み

日本の食品メーカーの多くは、国内外から原料を買い付け、それを加工して食品を作っている。ここ数年深刻になっているのが、海外からの輸入原料の高騰だ。アベノミクス以降急激に進んだ円安に加え、輸出元の新興国において、原料となる食品の需要が高まったことによる値上げが発生している。これらの要因で企業は商品の値上げを迫られ、売り上げ減に悩んでいる。さらに、輸入穀物は作付状況や為替変動による価格の変動も避けられない。

「食の安全性」を確保することも、重要な課題だ。食品は消費者の口に入るため、異物や危険な材料が紛れ込むと、企業の経営を揺るがす大問題に発展する危険性がある。日本国内の食の安全に対する意識は高まっており、各社は異物の混入を防ぐ仕組みを工場のラインに導入したり、原材料がどこで生産・加工され、どのような経路で流通したか追跡できる「トレーサビリティ・システム」を採用したりして、安全性を高める努力をしている。また、自社で畑を運営するなどして、安全で質の高い原料の確保を目指す企業もある。中には、自社製品の原料として使用するだけでなく、それらの原料を直接消費者に販売するケースも増えている。

このような価格と品質を含めた安定供給は、食品メーカーにとってカギとなる。

(3)食品業界のHot Topics

健康や美容に気を使う人が増え、そのニーズに応えようと各社がしのぎを削っている。また、海外向け商品の開発には、これまでの国内市場では経験のない対応も求められている。

健康・美容へのこだわり

健康に気を遣う人が増え、体調を整えたりダイエットに効果が認められたりする食品に、引き続き注目が集まっている。特定の健康効果が期待できる「機能性表示食品」や「特定保健用食品(トクホ)」のジャンルでは、多彩な製品が開発され続けている。

日本食ブーム

日本食はおいしさに加えて、低カロリー・低脂肪であることも好評で、海外でも日本食ファンは増えている。そのため、日本酒、醤油、味噌、豆腐といった日本特有の食品の輸出は増加している。今後は輸出だけでなく、これらの商品を現地で生産するケースも増えると期待されている。

提携の動き

国内市場の縮小を見越し、各社は、同業他社との合併・業務提携によって生産性を高めようとする動きがみられる。例えば、異なる飲料メーカーが1台の自動販売機を共同利用するなどの取り組みが代表的だ。

ECマーケットの拡大

食品メーカーが従来の卸や商社、小売店を通さず、インターネット通販(Electronic Commerce(電子商取引)を略してECとも呼ばれる)によって消費者に直接販売する市場が拡大している。メーカーとしての役割に加えて、流通まで手がける動きとして注目が集まっている。

(4)関連業界とのつながり

スーパーマーケット

食品メーカーにとって、自社製品を販売するスーパーマーケットは重要なパートナー。ただし、スーパーマーケットやコンビニエンスストアのPB(プライベートブランド)商品は、食品メーカーにとって強力なライバルでもある。

総合商社

小麦やバター、肉、魚などの原材料は、総合商社に委託して輸入することが少なくない。また、食品会社が海外市場に進出する際に、総合商社に協力を仰ぐケースもある。

専門商社

国内市場における食品の流通は、「食品卸」と呼ばれる専門商社が担っている。食品卸と同じ企業グループに属し、緊密な関係にある食品メーカーもある。

 

監修:日本総合研究所 吉田賢哉

 

▼2020年卒向け詳細情報▼

この業界の企業一覧

▼2019年卒向け詳細情報▼

この業界の企業一覧

合わせて読みたい記事

  • 業界研究の方法・ポイントを徹底解説!

    業界研究のやり方・ポイントを徹底解説!

    志望業界や志望企業を絞り込んだり、志望動機をまとめたりするうえで、業界や業種への理解を深めるために「

  • 業界ナビ

    業界ナビ

    業界ナビでは、各業界の仕組みや現状など、業界研究に役立つ情報をわかりやすく解説しています。業界の平均

  • 自動車業界

    日本の自動車メーカーの存在感は、グローバル市場においても非常に大きい。世界の自動車販売ランキングの上位には、複数の日本企業が入っている。 国内の自動車市場は、人口減少などの影響で頭打ちになると予測されている。一方、グローバル規模で見れば、市場は好調だ。日本自動車工業会によると、2015年における四輪車の世界生産台数は9080万台で、2010年(7761万台)に比べ17パーセント伸びた。けん引役となっているのが中国で、2015年の四輪車生産台数は2450万台に上っている。ただし、中国経済は減速の危険性も指摘されており、仮に中国市場の伸びが鈍化すれば各社の業績にも影響が出るかもしれない。中国など新興国市場の動向には注意が必要だ。

  • 鉄鋼業界

    鉄鋼業界は、鉄を加工して作った鋼板などを、輸送機器(自動車など)、建築、家電などの業界に提供していて、その需要は根強い。鉄鋼メーカーは、原料の鉄鉱石から粗鋼まで一貫生産する高炉メーカーと、くず鉄などを溶かして鉄鋼を生産する電炉メーカーとに大別される。また、電炉メーカーの中で高度な鉄合金を生産する企業を特殊鋼メーカーとも呼ぶ。

  • 食品業界

    食品業界

    食品業界の企業は、加工食品(菓子、乾燥めん、レトルト・冷凍食品、大豆製品、乳製品など)、清涼飲料水やアルコール類、また調味料や小麦粉などの食品原料などを製造し、小売店などを通じて消費者に販売している。

  • 化粧品業界

    化粧品メーカーは、「化粧品」の開発、製造、販売などを手掛ける企業である。 ここに含まれる「化粧品」の種類は実にさまざま。化粧水や洗顔料などの肌のコンディションを整える「スキンケア化粧品」、ファンデーションや口紅などの「メークアップ化粧品」、シャンプーやリンスなどの「ヘアケア化粧品」、ボディクリームなどの体をケアする「ボディケア化粧品」や香水などの「フレグランス化粧品」などがある。また、これ以外にも紙おむつや入浴剤、歯磨き剤なども化粧品メーカーが手掛けている場合が多い。そして、これらすべての総称として「トイレタリー用品」と一般的に呼ばれている。

  • 医薬品業界

    医薬品メーカーは、医薬品の研究開発から効果の確認、販売までを手掛けている。 医薬品は、大別すると、医師の処方箋が必要で、薬局や病院で処方される「医療用医薬品」と、処方箋が不要でドラッグストアや薬局などで売られる「一般用医薬品」の2つに分けられる。

業界データ ※1

平均勤続年数(年)

  • コンピュータ・通信機器・オフィス機器

    17.7

  • 石油・石炭

    17.6

  • 総合電機(電気・電子機器)

    17.4

  • 水産

    16.8

  • 重電・産業用電気機器

    15.7

  • ガラス・セラミックス

    15.6

  • 精密機器

    15.5

  • 家電・オーディオ機器

    15.5

  • プラント・エンジニアリング

    15.5

  • タイヤ・ゴム製品

    15.4

  • その他メーカー

    15.3

  • 紙・パルプ

    15.3

  • 建設

    15.1

  • 化学

    15.1

  • 半導体・電子部品・その他

    15.0

  • 非鉄金属

    15.0

  • 設備・設備工事

    14.6

  • 輸送機器

    14.5

  • 繊維

    14.5

  • 機械

    14.5

  • 鉄鋼・鉱業・セメント

    14.2

  • 自動車

    13.8

  • 金属製品

    13.7

  • 医薬品

    13.7

  • 印刷

    13.3

  • 医療機器

    13.2

  • 建材・エクステリア

    12.8

  • 文具・事務機器・インテリア

    12.7

  • 食品

    12.5

  • 農業・農林

    10.8

  • アパレル・服飾・雑貨・皮革製品

    10.2

  • 住宅

    9.7

  • 化粧品

    9.1

もっと見る

平均年齢(歳)

  • アパレル・服飾・雑貨・皮革製品

    33.5

  • 化粧品

    36.2

  • 住宅

    37.1

  • 医療機器

    37.7

  • 食品

    38.1

  • 印刷

    38.1

  • 自動車

    38.2

  • 輸送機器

    38.3

  • 農業・農林

    38.9

  • その他メーカー

    39.1

  • 化学

    39.1

  • 紙・パルプ

    39.2

  • 機械

    39.8

  • 設備・設備工事

    39.8

  • 金属製品

    39.9

  • 医薬品

    39.9

  • 建材・エクステリア

    39.9

  • 文具・事務機器・インテリア

    40.0

  • 非鉄金属

    40.1

  • ガラス・セラミックス

    40.1

  • 総合電機(電気・電子機器)

    40.4

  • 半導体・電子部品・その他

    40.6

  • 鉄鋼・鉱業・セメント

    40.8

  • 家電・オーディオ機器

    41.3

  • 繊維

    41.4

  • プラント・エンジニアリング

    41.7

  • 精密機器

    41.8

  • 重電・産業用電気機器

    42.6

  • 建設

    42.7

  • コンピュータ・通信機器・オフィス機器

    43.1

もっと見る

女性の育児休業取得者比率(%)

  • 医療機器

    100.0

  • 農業・農林

    100.0

  • 家電・オーディオ機器

    100.0

  • 繊維

    100.0

  • 紙・パルプ

    99.4

  • 輸送機器

    98.9

  • その他メーカー

    98.7

  • 文具・事務機器・インテリア

    97.4

  • 医薬品

    97.3

  • 建材・エクステリア

    97.0

  • 化学

    95.8

  • 化粧品

    95.7

  • 金属製品

    95.6

  • 機械

    95.2

  • 半導体・電子部品・その他

    93.9

  • 印刷

    93.1

  • 設備・設備工事

    92.5

  • 自動車

    92.4

  • 食品

    91.2

  • 住宅

    90.7

  • 建設

    90.0

  • 重電・産業用電気機器

    89.7

  • プラント・エンジニアリング

    89.1

  • コンピュータ・通信機器・オフィス機器

    88.9

  • アパレル・服飾・雑貨・皮革製品

    85.7

  • 総合電機(電気・電子機器)

    85.4

  • 非鉄金属

    83.5

  • 鉄鋼・鉱業・セメント

    83.5

  • 精密機器

    83.1

もっと見る

男性の育児休業取得者比率(%)

  • 精密機器

    12.2

  • 総合電機(電気・電子機器)

    9.3

  • 金属製品

    8.9

  • 食品

    6.9

  • 医薬品

    6.6

  • プラント・エンジニアリング

    6.2

  • 印刷

    5.9

  • 輸送機器

    5.8

  • 半導体・電子部品・その他

    5.8

  • 設備・設備工事

    5.4

  • 化学

    4.7

  • 機械

    4.3

  • 建設

    4.1

  • 住宅

    4.0

  • コンピュータ・通信機器・オフィス機器

    3.7

  • 医療機器

    2.8

  • その他メーカー

    2.6

  • 紙・パルプ

    2.5

  • 繊維

    2.2

  • 農業・農林

    2.0

  • 自動車

    2.0

  • 重電・産業用電気機器

    1.1

  • 非鉄金属

    1.1

  • 建材・エクステリア

    0.9

  • 家電・オーディオ機器

    0.7

  • 鉄鋼・鉱業・セメント

    0.7

  • 化粧品

    0.6

  • 文具・事務機器・インテリア

    0.0

  • アパレル・服飾・雑貨・皮革製品

    0.0

もっと見る

平均月別所定外労働時間(時間)

  • 医薬品

    13.0

  • 繊維

    14.0

  • 石油・石炭

    14.5

  • アパレル・服飾・雑貨・皮革製品

    14.5

  • 農業・農林

    14.6

  • 化学

    16.2

  • 精密機器

    16.3

  • 文具・事務機器・インテリア

    16.5

  • 化粧品

    16.5

  • ゲーム・アミューズメント機器

    17.6

  • コンピュータ・通信機器・オフィス機器

    17.9

  • 鉄鋼・鉱業・セメント

    18.0

  • 水産

    18.0

  • 紙・パルプ

    18.3

  • 重電・産業用電気機器

    18.4

  • 医療機器

    18.5

  • その他メーカー

    18.6

  • ガラス・セラミックス

    19.2

  • 非鉄金属

    19.2

  • 食品

    19.3

  • 半導体・電子部品・その他

    19.4

  • 金属製品

    19.6

  • 機械

    20.4

  • 建材・エクステリア

    20.8

  • 総合電機(電気・電子機器)

    21.8

  • 家電・オーディオ機器

    22.2

  • 輸送機器

    22.3

  • 印刷

    22.4

  • 自動車

    22.8

  • 住宅

    23.4

  • 建設

    24.1

  • プラント・エンジニアリング

    24.4

  • 設備・設備工事

    26.6

もっと見る

平均有休休暇消化日数(日)

  • 総合電機(電気・電子機器)

    13.9

  • コンピュータ・通信機器・オフィス機器

    12.4

  • 輸送機器

    11.8

  • 石油・石炭

    11.8

  • 家電・オーディオ機器

    11.8

  • プラント・エンジニアリング

    11.8

  • 半導体・電子部品・その他

    11.6

  • タイヤ・ゴム製品

    11.5

  • 重電・産業用電気機器

    11.4

  • 自動車

    11.3

  • ガラス・セラミックス

    11.1

  • 精密機器

    11.1

  • 化学

    11.0

  • ゲーム・アミューズメント機器

    10.9

  • 非鉄金属

    10.8

  • 医薬品

    10.7

  • 鉄鋼・鉱業・セメント

    10.6

  • 化粧品

    10.2

  • 機械

    9.9

  • 紙・パルプ

    9.7

  • 文具・事務機器・インテリア

    9.6

  • 繊維

    9.6

  • 医療機器

    9.5

  • 金属製品

    9.4

  • その他メーカー

    9.1

  • アパレル・服飾・雑貨・皮革製品

    9.1

  • 食品

    8.4

  • 設備・設備工事

    8.4

  • 印刷

    8.2

  • 住宅

    7.8

  • 建材・エクステリア

    7.7

  • 建設

    7.4

  • 農業・農林

    6.8

もっと見る

役員の女性比率(%)

  • 化粧品

    31.9

  • アパレル・服飾・雑貨・皮革製品

    24.2

  • 繊維

    19.3

  • 水産

    17.9

  • 印刷

    16.9

  • 住宅

    14.0

  • 農業・農林

    13.6

  • 金属製品

    12.1

  • 食品

    11.6

  • 建材・エクステリア

    10.1

  • 文具・事務機器・インテリア

    9.3

  • 建設

    8.8

  • ガラス・セラミックス

    8.6

  • プラント・エンジニアリング

    8.5

  • 家電・オーディオ機器

    8.3

  • 紙・パルプ

    8.2

  • 非鉄金属

    7.8

  • 重電・産業用電気機器

    7.4

  • 鉄鋼・鉱業・セメント

    7.2

  • 医薬品

    7.1

  • 医療機器

    6.8

  • その他メーカー

    6.8

  • 機械

    6.3

  • 精密機器

    6.0

  • 設備・設備工事

    6.0

  • 半導体・電子部品・その他

    5.3

  • 化学

    4.9

  • 自動車

    4.3

  • 輸送機器

    4.1

  • 総合電機(電気・電子機器)

    2.2

  • コンピュータ・通信機器・オフィス機器

    0.0

もっと見る

管理職の女性比率(%)

  • 化粧品

    38.4

  • アパレル・服飾・雑貨・皮革製品

    23.6

  • 水産

    16.1

  • 繊維

    15.9

  • 食品

    13.6

  • 農業・農林

    12.3

  • 住宅

    12.3

  • 医薬品

    11.2

  • その他メーカー

    9.7

  • 印刷

    8.9

  • 紙・パルプ

    7.4

  • 金属製品

    6.8

  • 精密機器

    6.8

  • 文具・事務機器・インテリア

    6.6

  • 化学

    5.6

  • 医療機器

    5.6

  • 家電・オーディオ機器

    5.0

  • 建設

    4.8

  • 鉄鋼・鉱業・セメント

    3.8

  • 設備・設備工事

    3.7

  • 輸送機器

    3.5

  • 半導体・電子部品・その他

    3.3

  • 機械

    3.3

  • プラント・エンジニアリング

    3.1

  • 重電・産業用電気機器

    3.1

  • 自動車

    3.0

  • 非鉄金属

    3.0

  • 建材・エクステリア

    2.4

  • コンピュータ・通信機器・オフィス機器

    2.2

  • ガラス・セラミックス

    2.1

  • 総合電機(電気・電子機器)

    1.5

もっと見る

※1 2017年5月15日時点のリクナビ2018の掲載情報に基づいた各企業直近集計データを元に算出