給与、残業代、勤務時間…。しくみやルールをきちんと知ろう

就活で企業を選ぶ際に、気になるポイントとなるのが「給料(給与)」や「勤務時間」。「求人情報」の「給与」「勤務時間」などの項目を正しく理解するために必要な、知っておきたい基礎知識を解説します。

 

(1)給料はどのようにして決まる?

1. 「給与」って何?

私たちが普段「給料」と呼んでいる、労働の対価として雇い主から支払われるお金は、求人情報の項目では「給与」と表現されていることが多いです。そして、その内訳は、大きく「基本給」と「手当」に分かれています。

●基本給…各種手当などを除いた、賃金のこと

●手当…基本給以外に企業が必須または任意で支払う賃金のこと。なお、手当にもさまざまなものがあり、仕事に携わる人全員に一律に支給される手当、属性によって一律に支給される手当、残業手当、売り上げや業績によって月々支給される歩合給やインセンティブ、1カ月を超える単位で支給されるインセンティブなどがある
例)職種手当、時間外勤務手当(残業代)、通勤手当、住宅手当など

●給与…基本給と各種手当の総額

基本給、各種手当とも、金額や内容、算定基準は企業ごとに任意で決めることができ、詳細は雇用契約や就業規則に記載されます。
なお、リクナビに記載されている給与は、基本給か、採用された人全員支払われる手当を加えた金額になります。

また、給与の形態も「月給制」、「日給制」などさまざまな形態があります。各給与形態について明確に定義が決まっているわけではないですが、ここではリクナビの企業情報に記載されている給与形態の定義について紹介します。

●時給制…1時間単位で金額が定められ、労働時間分が支給される

●日給制…1日単位で金額が定められ、労働日数分が支給される

●週給制…1週単位で金額が定められ、労働週数分が支給される

●月給制…1ヶ月単位で金額が定められている。月額が定められているが、欠勤により決まった割合で減額する場合「日給月給制」と呼ぶ場合がある

●年俸・半期年俸制…1年や半年単位で金額が定められている

●業務単位…1レッスンあたりなど、業務単位で金額が定められている

どの給与形態を適用しているかは企業によってさまざまなので、求人情報を見る際に確認しておきましょう。

では、給与がすべて手元にくるのかというと、そうではありません。「求人情報上の給与よりも振り込まれた金額が少なかった!」という場合があるのは、これから紹介するこんな理由があるからなのです。

 

2. 給与と「手取り額」の違い

「手取り額」「額面」「年収」などといった言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、給与に関係する表現にはさまざまなものがあります。これらの言葉の意味について、ここで整理しておきましょう。

●額面…就業規則等に則って支給される給与の総額

●手取り額…額面から社会保険料や税金(所得税、住民税など)等を差し引いた金額

●賞与…給与とは別に、支給される特別な給料のこと。支給される時期は企業によって異なり、夏・冬の年2回支給されるケースが一般的だが、それ以外の時期(年末や期末など)や、不定期(臨時)に支給されることもある。支給額は企業の業績や個人の評価等によって変動する。臨時賞与などで、対象者に一律同額支給するケースもある

●年収…1年間に企業などの雇用主から支払われた給与と賞与の総額

企業などからは給与が支払われますが、手元にはそこから社会保険料や税金などを差し引いた金額が支払われます。そのため、求人情報や就業規則に書かれている給与(額面)に比べると、実際に手元に入る手取り額には違いがある(金額が下がる)ことを知っておきましょう。社会保険料や税金などの金額は、給与額などによって変動しますが、おおよそ、給与の金額の8割前後が手取り額になると考えておくとよいでしょう。

また、企業によっては「年俸制」を採用しているところもあります。前述したように、年俸制とは、給与額を1年単位で決定する給与形態のこと。労働基準法では「毎月1回以上の支払いの原則」が定められているので、実際には、掲示された金額の1/12が、毎月支払われる場合が多いようです。年俸制の場合は一般的に、賞与分も年俸額の中に含まれているため、年棒制を採用する企業の中には、年俸額を14分割し、夏・冬にボーナスとして1/14ずつを毎月の支給とは別に支払う企業もあります。
年棒制の最も大きな特徴は、あらかじめ契約期間(1年や半年など)に支払われる金額が決まっているということです。一方、年棒制をとらず、毎月の給与と賞与が支払われる(月給制)場合は、毎月の残業時間の変動や、業績によって変動する賞与があるため、年収は変動する可能性があります。

自分の志望する企業がどのような給与形態になっているのか、調べておくと良いでしょう。

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(2)残業代が支払われるのはどんなとき?

給与に関する言葉の違いなどを紹介しましたが、次は「労働時間」について説明します。というのも、手当の代表例として「時間外勤務手当(残業手当)」が挙げられるように、給与と労働時間は密接につながっているからです。
では、残業代が支払われるのはどんな場合でしょうか? それは、ひと言で言うと、企業が決めた「所定労働時間」を超えて働いたとき。この場合は、残業代が支払われることが法律で定められています。

 

1. 「所定労働時間」とは?

では「所定労働時間」とは、なんでしょう。これは、企業ごとに定めている労働時間のこと。企業の求人情報には「勤務時間 9時~17時(休憩1時間)」などと記載されていることがありますが、これがその企業の所定労働時間にあたります。

労働基準法では、法定労働時間は「1日8時間、および1週間40時間」を上限としており、それを超えた労働や休日労働は原則禁止されています。この原則に基づいて、企業は1日の所定労働時間をその範囲内で定めて、就業規則などに記載しています。したがって、所定労働時間が8時間の企業もあれば、7時間30分などの企業もあります。そして、これらの時間を超えて働いた場合に残業代が支払われるというわけです。

ところで、労働基準法では法定労働時間を超える労働は原則禁止されているにもかかわらず、なぜ残業は可能なのでしょうか? それは、企業と社員との間で「うちではこういう理由で残業や休日出勤をしてもらうことがあります」という約束(労使協定)を結び、国(労働基準監督署)に届け出ることで、企業は社員に対して、届け出た範囲の中で残業や休日出勤を命じることが可能になるからです。ただし、国に届け出た場合であっても残業には国で定められた上限があります。労働基準法36条で、1カ月の残業時間の上限は「45時間まで」となっています。

しかし、この上限の中に収まらない働き方もあります。これには、「特別条項付協定」を結んでいる企業が該当します。特別条項付協定とは、「臨時的に特別な事情が予想される場合などには、上限を超えて時間外労働を行うことができる」とする協定です。当然のことながら、これを結ぶには「原則として、延長時間を定める」「時間外労働の具体的な理由を定める」「特別の事情は、突発的であること、そして1年の半分を超えないことが見込まれること」など、複数の要件を満たしていることが必須です。
しかし、現行のルールでは時間の上限が設けられていないこともあり、最近では、法改正による見直しを進める動きもあります。

自分の志望している企業がどのような働き方をしているのか、リクナビや企業ホームページを見ることはもちろん、実際に働く社員に聞いてみるなどして、自ら情報収集をするようにしましょう。

 

2. 残業代っていくら払われるの?

次に、残業代は、どのくらいの金額がどのようにして支払われているのでしょうか?
それは、その企業が労使協定に基づいて従業員に時間外労働や休日労働、深夜労働を行わせた場合、以下の割増賃金を支払うことが労働基準法に定められています。

●法定労働時間(1日8時間および1週間40時間)を超えて働かせた場合:通常の労働時間の賃金を時給換算した額の25パーセント以上50パーセント以下(の割増)
※月間60時間を超えた分は、通常の労働時間の賃金を時給換算した額の50パーセント以上の割増、または有給休暇を与える
(※以下、すべて割増時の基準額は「通常の労働時間の賃金を時給換算した額」)

●法定休日に働かせた場合: 35パーセント以上の割増
※法定休日については、記事後半の「休日・休暇の日数も法律で定められている」を参照してください。

●深夜の時間帯(22時〜5時)に働かせた場合:25パーセント以上の割増

●時間外労働が深夜に及んだ場合:50パーセント以上の割増

●休日労働が深夜に及んだ場合:60パーセント以上の割増

ここで注意したいのは、「法定労働時間を超えて働いた場合は割増されるが、それ以内の場合は割増がされない」ということです。
つまり、所定労働時間が7時間の企業の場合、法定労働時間以内(1日8時間)で働いた日の残業代の割増は0パーセントなのです。ですから、通常の労働時間の賃金を時給換算した額の1時間分が残業代として支払われます。
どのような働き方をしても、所定労働時間を超えた労働に対して残業代は必ず支払われます。もし支払われない場合は、法律違反となるのです。

 

3. 「固定残業代」ってどういうこと?

また、企業によっては毎月、一定時間分の残業代が定額で支給されることが就業規則などで定められている場合があります。
この場合も、「一定時間分」を超えた残業に対しては、超過分の残業代が支払われます。なお、この「一定時間分の残業代」は「固定残業代」「超過勤務手当」「みなし残業代」などと呼ばれます。手当名は「営業手当」「職種手当」など企業によりさまざまですが、求人情報にも明記することが企業に求められています。

ここで、A社とB社を例にして、見てみましょう。

●A社:月給(大学卒、大学院卒ともに)月給23万円
※固定残業代4万円(25時間分)含む。超過分、諸手当別途支給。

●B社:月給(大学卒、大学院卒ともに)月給23万円
※別途諸手当支給。

この場合、一見すると同じ「月給23万円」でも、A社は25時間分の残業代4万円を含んだ金額であることがわかります。

また、A社の場合は、固定残業代がどのくらい月給に含まれているのか、明記されていますが、B社の場合は、残業をしたら別途残業代が支払われるのか、それともA社のように月給の中に残業代が含まれているのか、この情報だけでは判断ができません。

2016年に施行された「若者雇用促進法」により、「固定残業代の明示」と、平均勤続年数や新卒採用者人数などを含む「職場情報の提供」の大きく2つを、新卒採用を行っている企業に対して公表することが強く推奨されるようになりました。これらの情報開示の大きな目的は、学生が企業を正しく知り、より自分に合った企業を選べるよう手助けすることにあります。国からの呼びかけもあり、今後明示する企業は増えていくことでしょう。企業選びの参考になる情報が多く含まれていますから、参考にしてみてください。

なおリクナビに掲載している企業が、固定残業代を支給する場合、その旨を記載しています。気になる企業はどうなっているのか、自分の目で確かめてみてください。

 

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