安西力弥/2008年入社/車体生技部・シャシー技術Gr
スマートエクスパンドビーム(SEB)とは、車の乗り心地や運転の安定性に深く関わるシャシー部品です。マツダ様は、世界戦略車であるMAZDA3や、CX-30、MX-30などのリアサスペンションにトーションビームを載せる構想を持っていました。しかも、走りのさらなる快適さを追求するため、真ん中は細く、外に行くほど裾広がりになる次世代型トーションビームを開発したい、とのこと。そこでワイテックとタッグを組んで開発することになったのです。当社は7名のプロジェクトチームを編成。私は生産技術としてSEBの開発にあたりました。
通常、トーションビームはアーク溶接で行います。しかし外に行くほど広がる、複雑形状のSEBの場合、アーク溶接では熱変形する可能性が高く、強度面も不十分。そこでレーザー溶接する必要がありました。ワイテックはもちろん業界を見渡しても、全く前例のない取り組みです。レーザー溶接は、マニュアル通りにオペレートすると、お手本通り結果が出ます。しかし私たちが目指したのは、マニュアルを超えた溶接です。条件を超えなければ、SEBの規格は満足させられないのです。私たちはトライ&エラーを繰り返し、知見を重ねるしかありませんでした。