
ステンレスという材料の魅力を知ったのは、大学進学を控え進路を模索していたころに出会った一冊の本がきっかけでした。いろんな元素を加えたり除いたりすることで、すごい可能性を秘めている。一気に興味が深まり、大学・大学院では材料系に進み特に精錬についての研究をしてきました。現在所属する製鋼プロセス研究部は主にステンレス鋼の製造プロセスにかかわる研究をしている部署で、高品質なステンレス鋼の製造方法を検討したり、低コスト・高効率でステンレス鋼を製造する技術を開発したりという役割を担っています。中でも私は精錬、特に脱炭や脱窒といった成分制御にかかわる領域を担当しています。研究を進めるにあたっては上司、先輩からのサポートももちろんですが、データ収集などについては工場の方にも快く協力してもらっており、多くの人とかかわりながら仕事を進めていける非常に働きやすい社風に支えられています。この「風通しの良さ」「働きやすさ」というのは私の就活における大きな軸でしたが、多くの会社の中から当社を選んだ自分の判断は正しかったですね。そんな風土のもと、まずは精錬・製鋼で工場のコスト削減や生産性の向上などにしっかりと貢献できる存在へ、さらに将来的には社会のニーズ・工場のニーズ双方に応えられる製品開発などへ、意欲的にチャレンジしていきたいと考えています
ステンレスは、英語でstainless steelと言い、stainlessとは「さびない」という意味です。詳しい情報はこちらから
自分が手がけた新製品が、世の中に出ていく瞬間が見たい。そんな想いから日鉄ステンレスを志望。学生時代、金属材料の研究をしていましたが、金属としての制約の少なく、発展性の高いステンレス鋼に一番可能性を感じたのです。現在は操業部門のスタッフとして、不純物を取り除き、成分調整を行う精錬工程を担当していますが、特に印象深かったのは、入社半年後に依頼されたより高い品質が求められる新しいステンレス鋼生産のプロジェクトです。「傷の原因となる不純物を極限まで抑えられないか。」この製品の開発の肝は、まさに私が携わる精錬工程にありました。素材をどんなタイミングで、どれぐらいAOD炉に投入するか…。研究、品質管理、設備部門と連携し、成分比率のアドバイスをもらいながら、検討していきました。そして、遂に基準値に適うレベルに到達。今はさらに評価を進めている真っ最中です。精錬工程の技術が上がれば新鋼種の開発に貢献することができる。現在も世界水準の技術力を備えている日鉄ステンレスですが、目指すは世界No.1。他社の追随を許さないほどの技術力を確立し、新鋼種をこの手で生み出したい。そうして、自分の子どもに「お父さんが作ったんだよ。」と伝えるのが、将来の夢。それができる環境が日鉄ステンレスにはあると思います。
ステンレスをつくるには、様々な工程があり、各工程ごとに様々な職種があります。詳しい情報はこちらから
「石橋、この案件、やってみないか?」入社1年目のある日、上司から任されたのは、棒線工程に起きていた巻き取りの不具合対策。線材を巻き取る際に急に密になったり、広がったりする症状が出ていたんです。プレッシャーを感じつつ、設備の振動や周波数を計測。2年間におよぶ検証の結果、現在の設備では性能に限界があることが判明しました。「棒線は日鉄ステンレスの主力製品だ。新しい設備を導入しよう。」操業スタッフと相談を重ね、世界各国の設備メーカーとも協議を開始。言葉の壁に苦労しながらも、イタリアの企業を選択し、ほぼオーダーメイドで当社の求めるパフォーマンスを発揮できる装置を設計していきました。完成した設備の導入の際にも、非常に気を使いましたね。現状、動いている生産ラインを止めることなく、導入を進めていく。言わば、難解な“手術”のようなものですから。5年の歳月を掛けて、無事に据付は完成。1本目の線材がきれいに巻き取られていく様子を見ていると、自然と涙がこぼれていました。設備部門の役割は、まさにプラントにとって医者のようなもの。何十年先までを考え、次の手を打っていく。非常に長期で、大規模なものづくりを楽しみながら、この巨大工場の一生を見守り、支え続けたいと考えています。
世界の鋼材消費量は、中国をはじめとする新興諸国の経済的成長により、過去15年間に10億トンから16億トンに増加しました。詳しい情報はこちらから