ここがちよだ鮨の教育の場…いわば寺子屋みたいなもんかい。
店長のたまごがずいぶんとたくさんいるじゃねぇか。
ちよだ鮨に入社すると、
店長目指してここれイロハを学んでいくってわけだな。
まずは研修スタジオで、包丁さばきに巻物の作り方と、
技術面での基礎をみっちりと教えてもらえる。
三月ほどしたら、研修生として店へ奉公しにいく、と。
そのときも、
お師匠さんがあれやこれやと面倒を見てくれるようだな。
出来ない子どもほどかわいい、なんてお師匠さんもいるらしい。
経営学やら商売学やらいろいろ揃っているじゃねぇか。
技を身につけるだけじゃなく、
心も鍛えてこそ一人前!ってことか。
おや、あんたがお師匠さんかい。どうだい、この仕事は?
「やっぱり人を育てるのは、難しいですよ。
でも、みんなそれぞれいいものを持っているので、
それを引き出していくのが私たちの役目。
ひとりひとりの個性を見極めて、そこを伸ばしてあげたいんです。
ちなみに私たち、師匠ではなく、トレーナーって呼ばれています」
順調に育っていけば、入社1年で店長ってことらしいが、
若人たちはここを卒業したあとも、一人立ちしたあとも、
お師匠さん、いやトレーナーには世話になっているようだ。
仕事の悩み、恋の悩み、なんでも相談できる間柄。
こうやって仕事場でも、頼れる兄貴や姉貴ができるってのは
なかなかいい話じゃねぇか。
ニクイね、このっ。