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都市銀行・信託銀行業界

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都市銀行・信託銀行

(1)都市銀行・信託銀行業界の概況

都市銀行とは、大都市に本店を置き、全国規模でサービスを提供している銀行のこと。このうち、規模が極めて大きい銀行は「メガバンク」とも呼ばれる。一方、信託銀行とは、預金やお金の貸し出しといった通常の銀行業務だけでなく、顧客から託されたお金や有価証券、不動産などの運用や、遺言・相続に関する業務などの「信託業務」を行う銀行のことだ。

2008年のリーマン・ショックにより、世界の金融機関は大きなダメージを受けた。その後、日本ではアベノミクスにより景気が回復し、また、株価上昇によって銀行の保有株式の評価損益が改善したことによって銀行業務全般が活発化。各行の業績は回復傾向にあった。しかし、2016年に日本銀行が「マイナス金利」を導入したことで先行き不透明感も出ている。

私たちが銀行に預金をすると、預けた金額と期間に比例して金利がつき、預金額が増えるのが一般的だ。従来は、銀行が日本銀行にお金を預けた場合にも、金利がついてお金が増えていた。しかし、日本銀行がとった「マイナス金利」では、反対に日本銀行に預けた金額から金利の分だけ日本銀行が徴収することになる。各銀行は、日本銀行にお金を預けると損になるため、企業などへの貸し出しに積極的になり、金融市場では景気浮揚にひと役買うと期待されている。一方で企業や個人に貸し出す際の利回りが低下し、さらに収益を圧迫する可能性も指摘されている。

そこで都市銀行各行は、余力のあるうちに次に向けた一手を打とうとしている。中でも焦点となっているのが、「フィンテック(FinTech)」に関する取り組みだ。これは、Finance(金融)とTechnology(技術)による造語で、金融とITを組み合わせたサービスを指す。例えば、スマートフォンやタブレット端末に小さな機器を取り付けてクレジットカード決済を行う「モバイル決済」、ビットコイン(仮想通貨)を使った決済サービス、人工知能による審査を活用した融資などが登場し、注目を浴びている。こうした新サービスはIT系企業から生まれるケースが多く、既存の金融機関にとっては、それまで銀行が担っていた業務をIT系企業に奪われる可能性がある。そこで都市銀行は、自らがフィンテックの担い手になろうと多様な取り組みを進めている。

IT系のベンチャー企業などと連携・協業ながら「オープンイノベーション」を起こそうと模索する動きも盛んだ。従来の金融機関は自行だけでサービス開発などを進める傾向が強かったが、今後は、たとえばビジネスコンテストを開催してアイデアを募ったり、ベンチャー企業との提携によって新たなビジネス・技術を取り込んだりするなど、多方面から知恵を集めることでイノベーションの加速を目指す試みが盛んになりそうだ。

(2)都市銀行・信託銀行業界の仕組み

銀行の基本的なビジネスモデルは、預金で集めたお金を企業や個人に貸し出し、利ざや(=預金金利と貸出金利の差)で利益を得るというものだ。これは現在でも重要なものであるが、低金利や銀行同士の競争激化によって利ざやが得にくくなっていたり、企業が銀行から融資を受けるのではなく、株式や社債の発行によって資金調達を行うケースが増える。このような背景から、企業融資の分野は大きな伸びが望みづらいという観測もある。

そこで、融資以外の分野に注力する銀行もある。その一つが、M&A(企業の買収・合併)にかかわる業務である。企業に対して他企業・部門の買収などを提案し、手数料収入や、買収時に生じる多額の資金需要に応えることで収益を得るというわけだ。また、都市銀行は海外での金融網に強みを持つため、海外送金の手数料なども大きな収益源となっている。

都市銀行では、単に融資をするだけにとどまらず、顧客企業の経営をサポートするケースが目に付く。新たな取引先やビジネス情報を提供することで顧客との絆を強め、長期にわたって取引を継続しようという狙いだ。また、創業間もない企業の中から成長しそうな有望企業を見つけ、いちはやく融資して企業の成長を支援する取り組みもある。

信託銀行が、銀行業務とともに手がけているのが「信託業務」。信託業務は、中世ヨーロッパで生まれた。戦場に赴く騎士が、自分に万一のことが起きたときに妻子のために財産を守ろうと、信頼できる友人などに領地などの管理を託して譲渡したのが起源と言われる。現代では、個人や企業が持つお金、株式、土地や建物などの所有権を信託銀行などに移し、事前の取り決めに基づいて長期間にわたり管理を行い、運用益などを出し続ける仕組みなどを提供している。現在では規制緩和により、銀行でも一部の信託業務を行うことも増えてきているため、「銀行」と「信託銀行」の垣根は低くなってきている。

(3)都市銀行・信託銀行業界のHot Topics

フィンテックへの取り組み

メガバンクを中心に、フィンテックへの取り組みに力を入れるところが多い。技術研究・経営革新を進める部門を開設したり、ビジネスコンテストを主催したりなどの動きが活発化している。

海外事業の強化

日本企業のグローバル化に伴い、日本の銀行にも、海外に拠点をもつ日本企業に融資する案件が増えている。そのため、海外拠点を新設・拡充する動きも続きそうだ。

セキュリティを強化する試み

多くの銀行は、不正利用を防ぐために生体認証(指の静脈などを使って個人を認証すること)の導入などを進めている。また、インターネットを使った取引(インターネットバンキング)のセキュリティを高めるため、使い捨てパスワードの仕組みを取り入れるところもある。

銀証連携がさらに進む

「銀証連携」とは、銀行と証券会社が協力し合って業務を進める動きのこと。日本では金融分野での規制緩和が進み、銀行と証券会社の垣根が低くなって協力しやすい環境が整いつつある。都市銀行グループの中には、傘下の信託銀行や証券会社と一体となって顧客ニーズに応えようと、組織変革を進めているところもある。

(4)関連業界とのつながり

IT(情報システム系)

人工知能やビッグデータなどを活用し、新たな金融サービスを開発・提供する動きが活発に。入出金・決済などの仕組みを支える銀行システムにも、ITの存在は欠かせない。

証券

銀行の店頭で証券を販売したり、銀行と証券会社が互いに顧客を紹介し合ったりするなど、銀行と証券会社の業務の垣根はどんどん低くなっている。

地方銀行

各地域の顧客と深いつながりを持つ地方銀行は、都市銀行にとってライバル。現在、大手地方銀行同士が合併・提携を行う動きが目立ってきており、さらに競合関係が激しくなる可能性もある。

監修:日本総合研究所 吉田賢哉

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