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(1)化粧品業界の概況

化粧品メーカーは、「化粧品」の開発、製造、販売などを手掛ける企業である。
ここに含まれる「化粧品」の種類は実にさまざま。化粧水や洗顔料などの肌のコンディションを整える「スキンケア化粧品」、ファンデーションや口紅などの「メークアップ化粧品」、シャンプーやリンスなどの「ヘアケア化粧品」、ボディクリームなどの体をケアする「ボディケア化粧品」や香水などの「フレグランス化粧品」などがある。また、これ以外にも紙おむつや入浴剤、歯磨き剤なども化粧品メーカーが手掛けている場合が多い。そして、これらすべての総称として「トイレタリー用品」と一般的に呼ばれている。

経済産業省の「生産動態統計」によると、リーマン・ショック後の2009年以降、化粧品の国内出荷額は1兆4000億円前後で推移していた。しかし、2012年からは4年連続で増加に転じ、2015年の国内出荷額は前年より1.3パーセント増の1兆5070億円となった。また、1991年には化粧品出荷単価(化粧品1キログラム当たりの平均出荷額)が4500円程度に達していたが、その後は右肩下がりとなり、2009年には3079円に下落した。ところが近年は持ち直し、2015年には3336円となっている。

市場が回復しつつある要因の一つは、インバウンド需要(訪日外国人の消費によってもたらされる需要のこと)の拡大だ。観光庁の「訪日外国人の消費動向」によると、2015年の訪日外国人数のうち、42.4パーセントが化粧品や香水を購入しており、その平均購入額は一人当たり2万9446円だった。2015年の訪日外国人数は1974万人だったので、インバウンド需要だけで2500億円程度あったと推測できる。2016年の訪日外国人数はさらに増え、2400万人以上だったと推計されており、今後もインバウンド需要に期待する化粧品メーカーは少なくない。なお、2016年に入って訪日外国人の消費の勢いが弱まっているとの観測も一部にはある。各社、今後の対応が注目される。

一方、国内市場は人口減少の影響を受けている。また、消費者の節約志向が高まり、今後、化粧品出荷単価(化粧品1キロあたりの平均出荷額)は下がる可能性も考えられる。そこで各社は、新たな顧客層の掘り起こしに力を入れている。代表的な取り組みが、中高年齢層向け商品の拡充だ。2019年には全女性人口の半数以上が50歳以上になると予測されており、アンチエイジング(抗加齢)に関心を持つ女性も増える可能性が高い。そのため、50~60代向けの化粧品市場は有望視されているのだ。また、男性用化粧品も今後の成長が期待されている。矢野経済研究所の「化粧品市場に関する調査」によると、2012年度における男性化粧品の市場規模は1095億円だったが、2015年度には1178億円と徐々に伸びている。背景には、中高年層をターゲットにしたニオイ対策を訴求したヘアケア化粧品や簡便性を訴求したスキンケア化粧品が引き続き好調なことに加え、若年層のスキンケアへの意識の高まりと共に、ひげ剃り用のシェービングフォーム・ジェルなどの使用率が向上するなど好調に推移していることがある。

また、各社は海外展開にも積極的だ。大手化粧品メーカーの中には、海外の化粧品メーカーの買収や、現地法人の開設などによって、海外の売上比率を高めようとするところもある。特に、中国などのアジア諸国で、売り上げ増加を目指す企業は少なくない。

(2)化粧品業界の仕組み

一般的に、化粧品メーカーの多くは、商品を百貨店やドラッグストアなどに販売することで利益を得ている。近年ではアジアなどの海外で商品を展開するケースも増えている。

化粧品業界の仕組み

大手化粧品メーカーは、材料の研究・開発から新しい商品の企画、工場での製造、ブランドイメージの確立、販路の開拓といったすべての工程を手がけることが多い。それに対し、中小の化粧品メーカーは、化粧品のブランディングに専念する企業や、研究から製造までの工程を担当する企業など、自社の強い分野(工程)に特化している企業も多く、お互いに協力しながら製品づくりを進めている。なお近年では、製造を請け負っていた企業が企画力を磨き、化粧品のブランディングを担当する企業に対して「このような成分を使って、こういった効果をアピールしよう」と提案するケースも出てきた。

販売形態の変化も押さえておきたい。かつての化粧品は、訪問・店舗販売が主流だった。ところが、最近はインターネット上で欲しい化粧品の「口コミ」情報を調べ、そのままインターネットから購入する消費者が増えている。また、インターネット販売やカタログ販売を中心とした、新規の化粧品メーカーも増えている。そこで、既存の化粧品メーカーもインターネット販売に力を入れ始めている。今後、実店舗とインターネットの双方で消費者にアプローチすることが、売り上げ拡大のポイントになるだろう。

(3)化粧品業界のHot Topics

他業界からの参入は引き続き活発

化粧品業界では、ほかの業界からの新規参入が珍しくない。最も多いのは、医薬品や化学メーカーなどが、自社で開発した化学成分を化粧品に応用し、新商品を生み出すケースだ。またここ数年では、大手スーパーマーケットなどの流通業から参入する企業もあった。今後も新規参入企業が登場し、競争が激化する可能性は十分に考えられる。

越境ECの拡大

インターネット上の通販サイトを通じて、海外の消費者に商品を提供することを「越境EC(Electronic Commerce、電子商取引)」と呼ぶ。旅行中に日本の化粧品に興味を持った外国人が、帰国後に日本のECサイトで購入する動きが活発化している。

中国で日本製の紙おむつが人気に

中国をはじめとするアジア諸国では、日本製品は質の高さで知られており、肌に触れるトイレタリー用品の分野では特にニーズが高いとされる。中でも、中国では日本製の紙おむつが大きな人気を呼んでおり、個人輸入する人も多い。

エステサロンとの提携

化粧品メーカーの中にはエステサロンなどと提携し、自社商品をサロンで提供してファンを増やし、売り上げアップにつなげようとするところもある。

(4)関連業界とのつながり

IT(インターネット関連)

以前の化粧品業界では対面販売や訪問販売が主体の企業が多かったが、現在は、インターネット販売にも力を入れる化粧品メーカーが増えている。そこでIT企業と協働し、自社サイトの充実を図る取り組みも盛ん。

百貨店

百貨店内の化粧品売り場は、有力な販売チャネルとして重要な役割を果たしている。特に、高価格帯の商品は百貨店で販売される比率が高い。

広告

化粧品の売れ行きには、ブランドイメージが大きく左右する。そのため、広告や宣伝の重要性が高い業界だと言える。

監修:日本総合研究所 吉田賢哉

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